回復が難しいかなり強度の精神病の場合が対象
この人 精神病じゃないの?
結婚していると相手のことをそんな風に思うこともありますよね。
わけのわからない事を言ってきたり、無理なことを押し付けたり・・・・・
逆に、自分が精神的にまいってしまって、精神的におかしくなってしまっている・・・・
そんな精神状態だったら離婚のレベルかな、と考えてしまうこともあるかもしれませんね。
法律で決まっている離婚原因として、民法上には
「強度で回復の見込みがないとき」
というものがあります。
『もしかしたら、うちの相手とは法律上もこれで離婚できるかも!!』
そう思うかもしれません。
協議離婚できないで、離婚裁判までになってしまった場合に関係してくるのですが、
裁判所は「強度で回復の見込みがないとき」をかなり厳格に文字通りに考えているようですね。
相手がどれくらいの精神状態なら離婚できるのか、裁判例を含めて詳しく解説します。
離婚原因として認められない精神病
これって、精神病の部類に入るの?
そう思えるものって日常生活にもいくつかい思い浮かびますよね。
離婚につながりそうな精神病もあります。
アルコール依存症、薬物中毒、ヒステリーなどを理由として離婚を訴えるのは難しいんですが、
酒を飲んで暴力を振るう夫や妻とは「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚が認められます。
配偶者が精神病か?それともうつ病?
その程度だと、離婚裁判では「強度で回復の見込みがないとき」という理由が使えないです。
アル中やヒステリーでははダメです。
それって「離婚するとアルコール中毒やヒステリックでは生活できない」から。。。。ってことなのかもしれませんね。
強度の精神病とは?
「回復の見込みのない強度の精神病」として離婚が認められるっていうのは、
たとえば配偶者が統合失調症になった
↓
↓
離婚できる
という単純なことではないんです。
精神的な病気になるのは本人の意思ではありません、っていう考え方なんですね。
つまり、不治の病 の場合としてあげられているんです。
実際はどうかわかりませんけど、、、
最近よく聞く メンヘラも精神病のカテゴリーには入らないんですね。
離婚原因として認められる可能性がある強度の精神病は、
統合失調症、早発性痴呆症、麻痺性痴呆症、偏執病など
夫婦の本質的な義務が果たせないような状態の病気です。
精神病かどうかの診断はもちろん医師の診断によるし、
いったん精神病と診断されても回復の見込みがないかどうかはしばらく治療期間をおかないと医師だって判断できないんです。
生死不明の場合でも3年以上の時間を必要とするので、
回復の見込みがあるかどうかもある程度の年数を要することになります。
だから、配偶者が精神病院に入院したからといって
「強度で回復の見込みがないとき」にあたらないので、
すぐに離婚請求してもまず認められませんね。
なお、民法改正案では、精神病を離婚原因とする民法770条1項4号の既定は削除されています。
強度の精神病として離婚が認められる条件
- 病院に通う、入院するといった形できちんと治療を受けてきた
- 離婚を申し出た側が誠実な態度で看病を行い、夫婦の扶助義務を果たしてきた
- 離婚後に、配偶者の看病をする人がいて、療養の見通しが立っている
- 療養のために経済的援助をできる見通しも立っている
これくらいの条件がそろって、はじめて離婚ができるということなんですね。
病気の時こそ夫婦で支え合いたいものですが、、、
医学的にも「強度で回復の見込みがないとき」にというのは、
世間的な常識で「あの人は精神病で治らないよ」という場合よりもかなり制限されているようです。
とはいっても、ここでいう「精神病」に当たらなくても、配偶者が精神病、痴呆症などのため、
「婚姻を継続しがたい重大な事由」があれば、その理由で離婚できます。
だから、どちらかと言えば客観的に離婚が破綻しているようなときに離婚を認める、という感じです。
そういう人を抱えたからといって、すぐポイっっていうのもね。なんですし、、、
そんな理由からその人が将来暮らせる道筋を作ってあげて初めて離婚が認められます。
じゃぁ実家が裕福で十分面倒が見られる場合はダメで、
それに反して、配偶者の経済力が低い場合には、認められるケースもあります。
とはいっても、「強度の精神病」で離婚が成立することは少ないんですね。
さらに離婚後の治療や今後の生活面での配慮が必要
じゃぁ「強度で回復の見込みがないとき」にあたればすぐに離婚を認められる、というとそうではないんです。
裁判所では、さらに
離婚後の療養、生活などについてある程度めどが立ったとき
でないと離婚を認めるべきでない、という判断をしているんですね。
裁判の例
夫が42歳。妻が59歳。結婚生活20年。
結婚後、11年目から妻が就寝中に失禁をしたり、自宅がわからなくなったりしました。
その2年後、妻はアルツハイマー病とパーキンソン病と診断されて、その後さらに症状はひどくなり、寝たきりで、夫であるということもわからなくなり、感情の疎通もできない状態で、言葉も何をしゃべっているかわからない状態で日常会話もできなくなりました。
夫は家事全般だけでなく、妻の看護もして、さらに勤務先を退職して、自分の実家に帰って母とともに介護をしていました。
民生委員のおかげで、妻は24時間完全介護の施設のある特別養護老人ホームに入所しました。
夫は妻の入所後も1〜2週間に1度は見舞いを続け食事や爪を切るなどの世話をしていました。
その頃、親族や知人の勧めもあって再婚を考えるようになって、離婚を決意するようになりました。
この例で、夫は「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして離婚が認められました。
その理由として裁判所は、妻の病気が精神病に該当するかは疑問が残る、としながらも、
長期間にわたって夫婦間の協力義務を全く果たせないでいることなどによって、婚姻関係は破綻していることは明らかであること、
さらに夫が離婚後も若干の経済的援助や面会を考えていて、全額公費負担の老人ホームでの介護が得られることを考慮して離婚が認められたのです。
精神病にかかった配偶者が離婚後に過酷な状態になるのを保護するために離婚を認めないことは、
貧しい福祉制度の下では、他の配偶者に過酷な状況を強いる結果にもなっているんですね。
だからこれは、公的な扶助の貧しさを個人の犠牲と負担にするものじゃないぞ、って批判されちゃっている判例なんです、
ただ、だんだんと公的な扶助制度が行き渡ってきていて、
離婚後の精神病の配偶者の生活保障をあまり具体的なところまで求めることなく、
離婚を認める裁判の例も出てくるようになっています。
精神病の相手に訴訟をするとき
夫の顔も判別でいない精神病の妻と離婚するには、
- 強度の精神病で
- 回復の見込みがない
という法定離婚の原因の状態になっていることです。
強度の精神病というのは、結婚生活の本質的な義務が果たせないほどの精神病で、回復の見込みについては専門家の鑑定を参考に裁判所が判断をするんです。
夫の顔も判別できないほどといえば、訴訟する能力もないでしょう。
いざ離婚の訴訟になると、相手方が重度の精神病なので、話し合う能力も訴訟能力もないんですね。
そういう場合は家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てて、選任された後見人を被告として訴訟をすることになるんです。
すでに夫婦の一方の成年後見が開始し他方が成年後見人になっている場合は、
成年後見監督人を選任してこの人を相手に訴訟を起こすんです。
判例では、発病後の介護の仕方や、病院代金等の負担、離婚後の療養の手配、財産分与等の事情を考えて判断しているようです。
精神病が、この「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるという場合に、あたる可能性がどれくらいかは、
詳しく専門家にそのレベルを聞いてみると参考になりますよ。
法律的な解釈が必要なくらいの離婚の相談をしたいならば、最終的には弁護士に相談したほうがいいです。
→離婚したいと思った時に弁護士にする離婚の「相談」と「依頼」
精神的におかしいからやっていけない「離婚したい」と思ったらまずは財産チェック
精神病には該当しなさそう。
でも、まともに話し合える仲ではない。
その状態で、離婚したいと思いつつ、離婚を言い出した後は、夫婦二人が冷静に話し合うことが難しくなります。
特に、離婚後の財産のことについては話し合えないとこじれることも多いです。
離婚について話し合う前に家の財産チェックをしておいた方がいいです。
気をつけておきたいのは、マイホームを持っていて離婚をする場合には、売却したらどれくらいの価格になるかを出しておかないと、資産価値からの処分を検討することもできません。
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