養育費の滞納分を請求する
養育費の取り決めをしたのに、だんだんと支払ってくれなくなる。
滞納がどんどんたまると、生活にも支障が出てきてしまいますよね。
公正証書や調停などで、養育費の取り決めをしていれば、
相手には何も言わずに裁判所にお願いすることで、給料からの差し押さえなどができますが、
今後も継続してもらうことを考えると、相手の神経を逆なでさせない方がいいですよね。
その中間地点になるのが、内容証明という文書の送付です。
養育費の請求方法はまずは自分から相手方に対して内容証明郵便で支払いを促すのが一般的です。
もし、自分で請求するのができない状況なら、第三者に請求してもらう方法があります。
ここでは、養育費の滞納があった場合の内容証明例を紹介します。
養育費の滞納分を請求する内容証明例
平成〇〇年〇月〇日
東京都南西区北町1丁目1番2号
〇〇太郎 殿
東京都北東区南町1丁目1番2号
〇〇花子 印
催告書
私は貴殿と〇年〇月〇日東京家庭裁判所で調停離婚しました。
その際、貴殿は長男一郎の養育費として一ヶ月8万円を支払うことと決まりました。
ところが、貴殿は離婚後の二回は支払ってきたものの、その後まったく支払いをせず、現在五ヶ月分40万円を滞納しております。
本書面到達後一週間以内に上記期間内にお支払いください。
万一お支払いなき場合は、法的手続きをとる所存であることを念のため申し添えます。
この内容証明例は、「養育費の滞納支払いを請求する」ものです。
離婚した妻から夫に子供の養育費滞納分を請求する際の文書例です。
ここには、
- 養育費を請求する根拠
- 契約した年月日
- 養育費の金額
また滞納している金額も明記すべきです。
調停離婚で養育費の支払いが決まっている場合には、
調停調書で強制執行を申し立てることもできます。
この催告書は強制執行の申し立てをする前に警告の趣旨で出す文例です。
養育費を請求するためには、最終的には法的な力を借りると、強制的に支払ってもあることはできます。
ただ、相手が子供が育っていくことに、ある程度の理解がある場合には、
感情に訴えることで、効果がある場合もあります。
→養育費が未払いで公正証書がなしでも必ず養育費をもらい続ける方法
養育費が支払われなくなったとき
養育費を支払う約束期間の 途中で支払われなくなる という問題はよくあるんですね。
厚生労働省の統計と最高裁の調査では、協議離婚で約8割程度、調停で決まっても3割の人が支払いをしなくなるそうです。
養育費の支払いが滞った場合には、慰謝料や財産分与の支払いが滞ったときと同じように 養育費の請求 ができます。
養育費支払いの催告書ひな形 例
令和○年〇月〇日
東京都〇〇区〇〇町〇番〇号
新庄 武 殿
東京都〇〇区〇〇町〇番〇号
石原 淳子 印
催告書
私は、〇〇との間に、平成〇〇年〇月〇日に成立した離婚協議書の内容に基づき、長女〇〇の養育費として、月〇万円の支払いを受けることになっていました。しかし、離婚直後は、支払ってくれていたものの、平成〇年〇月以後はまったく支払われておりません。現在〇ヶ月分合計金〇〇万円の支払いが滞っております。
つきましては、本書面到達後2週間以内に、平成〇〇年〇月以降の養育費合計金〇〇万円をお支払いください。
2週間以内でのお支払いができない場合には、法的手続きをとることになりますので、念のため申し添えます。
協議離婚の場合は、離婚時に離婚協議書(離婚の契約書)を作成して、金銭に関する取り決め(慰謝料・財産分与・養育費)を強制執行認諾約款付きの公正証書にしておくことが非常に重要です。
たとえば、お互いの署名と○○円払います、という内容の書面だけだとそれが守られない場合、裁判をしなくてはなりません!
しかし、公正証書で同じ内容を残しておくと裁判をせずに強制執行で支払わせることができるのです。
協議で決めた場合に、督促しても支払われないときには、家庭裁判所に養育費の支払請求調停・審判を申し立て、調停調書や審判書(強制執行力あり)で、きちんと決め直します。
これで、養育費が支払われなくなった時には、地方裁判所に頼んで、財産や相手方の給料債権を差し押さえることができます。
ただ、転職を繰り返していて働いているところがわからないとかだと、、、難しいです。。。
リストラで収入がなくなっちゃったら、残念ながらその場合も支払ってもらうのは難しいです。。。(´д`)
ない袖は振れないっていうことです。
家庭裁判所の調停や審判で決められた養育費の支払いを守らない人には、履行勧告・履行命令を出してもらえます。
これは、裁判所から通知がきたぁ〜と心理的な効果の影響もあって、半数くらいは効果があるようです。
養育費の支払いについて強制執行できるポイント
「もし不払いの場合は強制執行してもよい」
この一文が入っている公正証書(協議離婚の場合)や、調停調書審判書(調停の場合)、判決書(離婚裁判の場合)などが必要になります。これらがあれば裁判をすることなく強制執行して養育費の支払いを求めることができます。
つまり、金銭を滞納したときには、強制執行してもかまわないことを同意する文言を入れておくのです。
この場合、一回の強制執行の手続きで、将来の分も含めて差し押さえられます。(給料などの継続的な収入に対して、2分の1を上限に、将来の分も差し押さえができます。)
養育費滞納していると強制執行が厳しくなった
平成16年4月1日に民事執行法が改正されて、「扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例」ができました。
滞納者に対して、厳しい内容になったのです。
今回の改正で、強制執行手続きを一回とるだけで、将来の分を含めて継続的な収入について差し押さえができるようになりました。
この継続的な収入には、給料だけでなく家賃など継続的に支払われる収入も含まれます。
以前は、今までの滞納部分だけしか差押えできず、何度も手続きをしていたので、手続き費用もバカになりませんでした。
差押えできる上限も増えた
給料等の差押えができるのが、給料等の(税金・社会保険等を除いた)2分の1までできるようになりました(以前は4分の1)。
支払い義務者の収入が66万円を超えていれば、33万円超の額の全部を差押えできるのです。
このような強制執行ができるのは、離婚前の婚姻費用、離婚後の養育費なのですが、離婚時の財産分与、慰謝料は長期の分割払いを定めていても適用になりません。
さらに、養育費の不履行があるときは、一種の制裁金の支払いを命じる間接強制ができるようにもなりました。
養育費の支払いについてお互いに話すのって、気が引けますよね。
それも、支払いが滞っている時は特に、、、、、
そういうときは、調停の場で調停委員に間に入ってもらって話しをすすめるのが解決策になります。
調停では決まったことを守らないと、強制執行で裁判所のお墨付きでお金が請求できるようになりますから。
養育費が不払いになっても泣き寝入りはしない
子供を育てるにはお金がかかります。
養育費が不払いになったからと、ガッカリする必要はありません。
養育費は通常「子供が成年になるまで継続的に支払う」という約束をしていることが多いものです。
しかし、養育費の取り決めをして最後まで支払いをしている人は2割にも満たない統計が出ています。8割の人はあきらめと泣き寝入りをしているのです。
養育費は子供にとっての権利で大事なお金です。親の自分が泣き寝入りするのは子供への約束も自分が破っていることになるのです。
養育費の請求を自分で行う必要はありません。
→自分で請求する必要なし!弁護士が未払い養育費を回収してくれます