日本では 「養育費が支払われない!」 ということになっても、行政が動いて、強制的に支払わせるってことはないですよね。
それは、日本の養育費支払い確保の精度が十分ではなくて、せっかくの養育費の取り決めや審判が守られないという弊害が生じているからなんです。
そしてこれが母子家庭の貧困につながっているという・・・
これが、あの契約の先進国 アメリカ の制度では、日本とは異なって養育費の支払い確保のために様々な制度が用意されていて、養育費を不払いする人は、犯罪者扱いまでされるんです。
アメリカの養育費支払いの制度は進んでいると聞きましたけど、どんな感じなんですか?
アメリカでは1970年代半ばには養育費を取り立てる制度を作っていて、その後1980年代半ばからかなり整備されています。
実際の制度は州や郡で制定して運営するのですが、連邦政府が法律と補助金を使って、各州の制度が同じような内容になるようにしています。
ペナルティや罰則も厳しくて、例えば、裁判所の履行命令に従わない場合には、懲役刑が実際に課せられたりします。
日本では、養育費の取り決めをせっかく公正証書でしても、半年もしたら支払われなくなるケースが半分以上あります。
それでも罰則がありません。
ここでは、養育費について日本とアメリカでの違いについて紹介し、日本でいまできる方法を紹介します。
アメリカでは離婚する夫婦の9割が協議でペアレンティング・プランを裁判所に提出します。
ペアレンティング・プランは、離婚後の子の監護、面会交流方法、養育費等に関する詳細な取り決めのことです。
養育費の取り決め は、争いが起きないように、全ての州で、養育費の算定ガイドラインという、養育費の算定方式が法律によって定められています。
基本的に養育費はその算定方法に従って決めていくことになります。
裁判所が、これを承認することによって離婚が成立します。
アメリカでは 養育費の未払いがある場合 、養育費を賃金から源泉徴収するシステムがあります。
1984年には、連邦社会保険法が改正されて、この源泉徴収システムを各州レベルで義務づけることになったのです。
養育費の支払いは給与天引きが原則的で、所得税還付金からの取り立てや失業給付からも取り立てます。また、財産への先取特権なども認められています。
滞納があると、その制裁やペナルティもきつくて、様々な方法がとられています。
さらに1000ドル以上の高額滞納者に対しては、クレジット会社への通知、州の商工信用局への通報や運転免許などの停止措置などがとられます。
アメリカは車社会です。
養育費の支払いができないと、その自動車の免許の停止にもなるのです。
アメリカで車の免許が取り上げられると非常に困るのですが、養育費の不払いでそうしたことが行われます。
特に滞納額が多い場合には、パスポートを発行しないとか、収監するということも可能になっています。
養育費を払わないことは犯罪者であるという扱いで、州によって指名手配の犯人のようなポスターが作られていて、それがインターネットからもダウンロードできる形になっています。
日本では、家庭裁判所の履行命令に違反しても、罰則は10万円以下というわずかな過料ですが、アメリカの法制度はかなり厳しく、裁判所の履行命令に従わない場合には懲役刑が実際に課せられるペナルティを受けます。
自分で養育費の支払いをさせることを促進することが中心となっている日本の制度とは異なって、アメリカでは、積極的に法によって養育費の支払いを強制しようとする態度がよく出ています。
日本の感覚では、そこまでやるのか!という印象ですが、実際にアメリカでは制度としてやっています。
アメリカはずいぶんと厳しい養育費徴収の制度があるんですね~
でも、厳しすぎて、払うほうが払えないんじゃぁないですか?
そうなんです。
最近では、養育費を支払わない父親の中には、学歴もスキルも低くて十分な収入がないために払えない父親も多いということがわかってきたんです。
そして、行政の方でも、父親の方への支援という面も強化しているんです。
アメリカの養育費不払いをなくす制度も、厳しいことをやっても、実際に徴収ができていないわけです。
一旦滞納になったら、なかなか取り立てられませんが、その年度分についても6割ぐらいしか徴収できていません。4割は徴収できていないとう状況の中で、払えない父に対して、払えるようにサポートするといったことが行われるようになりました。
例えば、払わない父親に対して親教育をしたり、父親に自立に向けた就労支援をしたりしています。
また、面会交流をサポートすることで養育費の支払いをより高めようということも、養育費制度の補助金の中で行なっています。
今現在は、アメリカの養育費制度は一方で行政による強制的な取り立てを進めながら、他方で行政が家族の中に入っていって、「支払える父親」にするための家族支援を行なっています。
なんだか気の毒なくらいアメリカの養育費徴収制度は厳しいんですね。
この制度は誰でも使うことができますが、公的扶助などの福祉を受けている母子世帯の場合は、制度の強制適用となっています。
そこまでしなくてもいいですよ、って考える人も養育費をもらう側にもいるけど、強制なんですね。
そもそもアメリカの養育費徴収の制度は福祉需給の母子世帯が増えて、福祉財政が逼迫するので、それを父親から取り戻す、という目的で進められてきた経緯があります。
なので、こうした母親が制度に協力しないと福祉の方で罰則を受けることになります。
もちろんDV被害者などの場合は免除など、細かいところにいろいろ問題点があったりします。
取り立てた養育費は福祉を受けている場合などで、政府が関与したり、州によって違ったりもします。
日本ではアメリカのように強制的に徴収するシステムはありません。
離婚のときに問題になるのは、親権・財産のことがほとんどです。
子供を育てるにはお金がかかります。
その際に、あてになるのは離婚の時に決めた財産の処分方法です。
財産分与や慰謝料、そして養育費がそれにあたります。
離婚後の財産のことについては話し合えないとこじれることも多いです。
離婚について話し合う前に家の財産チェックをしておいた方がいいです。
マイホームを持っていて離婚をする場合には、売却したらどれくらいの価格になるかを出しておかないと、資産価値からの処分を検討することもできません。住宅ローンはその価格から差し引きます。
子供を育てるにはお金がかかります。
その際に、あてになるのは離婚の時に決めた財産の処分方法です。
財産分与や慰謝料、そして養育費がそれにあたります。
その中でも、養育費は通常「子供が成年になるまで継続的に支払う」という約束をしていることが多いものです。
しかし、厚生労働省の調査(厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」)によると、養育費を継続して受け取っている母子世帯はわずか28.1%です。
およそ7割の人はあきらめと泣き寝入りをしているのです。
日本ではアメリカのように養育費の不払いに対してのきつい罰則がないことも原因の一つかもしれませんね。
養育費は子供にとっての権利で大事なお金です。親の自分が泣き寝入りするのは子供への約束も自分が破っていることになるのです。
養育費の請求を自分で行う必要はありません。
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