ひとり親を援助する自治体の制度
なんとか生活できる援助は必ずあります
離婚して、親一人で子供を育てるとなると 経済的な負担 が大きくなりますね。
そんな経済的な負担を軽減させてくれる公共団体の制度や、各団体の制度があります。
こういった母子家庭やひとり親家庭のための公的支援と助成制度は、今すぐに必要でなくてもいざという時に頼りになります。
知っておいて損はしません。
ただ、条件などは政治や経済の状況によって変更になることがあるので、そのときはチェックが必要です。
ここでは、離婚後に活用したい生活を援助する制度を、できるだけ網羅して紹介しています。
知っておきたいサービスと助成制度
シングルマザーやシングルふぁざーになって、知っておきたい制度は、
医療と生活に関わる制度です。
ひとり親家族等医療費助成制度
ひとり親家庭等の医療保険の自己負担金を一部〜全額助成する制度です。
ひとり親家庭には、「ひとり親医療費助成」という名で医療費の助成が各地域であります。
ただ、助成内容(いくらもらえるか)は住んでいる場所によって、違います。
受給条件(所得制限など)も自治体ごとに異なってきます。
たいていの場合は、前々年の所得が一定額以下の場合が支給対象となります。
ひとり親家庭休養ホーム
ひとり親家庭の旅行や余暇のサポートシステムです。
各自治体によって実施内容は異なるのですが、
東京都の場合、年2回(泊)まで指定された施設の宿泊料
(1泊大人6490円、子供5770円)と
日帰り施設の使用量(大人2000円、子供1500円まで)を補助してくれます。
ひとり親家庭ホームヘルプサービス
市町村に在住している母子家庭のお母さんや父子家庭のお父さん、あるいはお子さんが、一時的な怪我や病気で日常生活に困っている時、
一定期間、育児や食事の世話などを手伝ってくれるホームヘルパーを派遣してくれるサービス。
実施内容は市区町村により異なります。
東京都の場合、二人世帯で年収が518万円(所得360万4000円)以下の方は、費用負担がなく、
一日1回月12日まで利用が可能です。
ひとり親家庭居住安定支援
民間の賃貸住宅に居住し、取り壊しによる転居を求められているひとり親家庭に対して、
転居後の家賃などの差額を一定期間助成してくれる制度。
実施の有無や内容は、各市区町村によって異なります。
私立高等学校等入学金の貸付、義務教育就学援助、都立学校入学料・授業料の減免などがあります。
母子生活支援施設
通称は母子寮とも呼ばれる、児童福祉法で定められた施設です。
18歳未満の子供と母親が一緒に生活して経済的自立・精神的自立を目指す場所です。
施設の居住費は原則無料で、所得の多い人はそれに応じた費用がかかります。
生活保護
病気や失業のために収入が途絶えたり、また働いていても収入が少なくて困っていたりする人が利用できる助成制度。
ひとり親に限らないので、問い合わせが住所地の福祉事務所や最寄りの民生委員になっています。
離婚した後に経済的に不安な妻に多いのですが、離婚したからといっていきなり生活保護のお金をもらえるわけではないです。
考え方としては、まずひとり親関係の「手当」を受けて、それでもだめなら「生活保護」という流れですね。
→離婚した後に生活保護で生活できる?「生活保護」と「手当」違いは?
子供のための手当て
児童扶養手当
父母が離婚、または死別した子供に支給される国の手当です。
18歳に達する日以後の3月31日までの間、子供がいる家庭に支給されます。
年度によって、日本の経済状態にあわせたMaxでもらえる金額は違ってきます。
お金をもらうには所得制限があって、母子二人世帯で、満額で4万2000円(年収が130万円、所得で57万円)。
子供の数や所得により金額が変わるとはいえ、全額支給だと40,000円以上もらえるのは非常に助かります。
申請のあった月の翌月から毎年4月・8月・12月の年3回支給されます。
詳細は→児童手当制度
特別児童扶養手当
精神又は身体に障害がある20歳未満の児童の福祉増進を図ることを目的として、監護、養育している父母に支給される国の手当です。
程度によって1級と2級があって金額が違います。
児童育成手当
父母が離婚、または死別したひとり親家庭に支給される各自治体の手当です。
18歳までの子供がいるひとり親家庭を対象に支給されます。
支給額や支給条件は、各市区町村によって異なります。
東京都の場合、保護者の年収が565万6000円(所得398万4000円)未満の家庭で、児童一人について1万3500円です。
名前は「児童手当」と似ていますが、制度自体はまったく趣旨が違う制度です。
児童手当
ひとり親家庭に限らず、就学前の児童を養育していうる家庭に支給される手当です。
所得制限があって、第一子、第二子までが一人5000円。
第三子以降が10,000円もらうことができます。
児童手当の対象となるのは、日本国内に住む0歳以上〜15歳になった最初の年度末(3月31日(中学校卒業)までです。
支給月は6月・10月・2月の年3回(1回の支給で4ヶ月分)。
ひとり親家庭を支援する制度が各自治体で整備されています。
東京都では「ひとり親家庭のしおり」という小冊子を作成して、国や東京都のひとり親に関する制度を紹介しています。
知っていると得する免除制度や優遇制度
国民年金保険利用の免除
国民年金の第1号被保険者について、収入が少なく保険料が収められない場合や、生活保護を受けている場合などに保険料が免除される制度です。
問い合わせは各市区町村役場の窓口か、社会保険事務所です。
JR通勤定期の割引
児童扶養手当、生活保護を受けている世帯の人が、JRを利用して通勤している場合、定期代を3割引で購入できる優遇制度です。
問い合わせは各市区町村役場の窓口です。東京都の場合は、この他に都営交通の無料乗車券の交付もあります。
水道、下水道料金の減免
児童扶養手当、生活保護等の需給世帯が、申請することで、水道料金の気泡料金や下水道料金1ヶ月8u以下の料金の免除制度です。
問い合わせは各自治体の窓口です。
公共施設内への売店等の設置
母子福祉団体などが、公共施設内に各種売店を設置したい場合の優遇制度です。
問い合わせは、公共施設を設置または管理している国や地方公共団体などの窓口です。
たばこ小売販売業の許可
母子家庭や母や寡婦がたばこの小売店を開業するための優遇制度です。
問い合わせは、日本たばこ産業株式会社の営業所です。
税の軽減措置
母子家庭・父子家庭、寡婦世帯及び生活保護世帯の人が、所得税・住民税の軽減が受けられる制度です。
働いていて給料明細をもらっていたり、確定申告などをしている人は、
「寡婦控除」という項目があるのを見たことがあるかもしれませんね。
問い合わせは会社の給与支払者か管轄地の税務署です。
利子非課税制度
所定の手続きにより金融機関などの利子が非課税になる制度です。
遺族基礎年金または寡婦年金を受給できる妻などが対象です。
郵便貯金、小学貯金の各元本350万円までの利子や、少額公債額面350万円までの利子が非課税になります。
新福祉定期預金
遺族年金、児童扶養手当の受給者が利用できる定期預金です。
一般の定期預金の金利におよそ1%を上乗せしたものが多いです。一人300万円で1店舗と限りがあります。
問い合わせは各金融機関です。
電話設置時の優遇制度
住民税非課税の母子家庭が利用できる電話設置工事の優遇制度です。
問い合わせは、NTT各営業所です。
このほかにもひとり親家庭を支援する制度はたくさんあって、
自治体によっては家賃援助やごみ袋の支給などがされているところもあります。
またシングルマザーになってから、
- さまざまな資格取得を目指すひとり親を応援する「高等職業訓練促進給付金」
- 地方自治体ごとに内容や条件が異なる「母子家庭家賃補助」
といった制度もあります。
金利がゼロのものもある貸付制度
母子福祉資金
母子家庭の安定と、その児童の福祉を図るために設けられた各種貸金の貸付制度です。
20歳未満の子供を扶養している母子家庭を対象に、
都道府県の自治体が資金の貸し付けを行う制度があります。
返済時の負担軽減のために、無利子(もしくは年3パーセントの低金利)で貸し付けを行っています。
貸し付けを受けるための条件は
- その都道府県に6ヶ月以上住んでいること
- 連帯保証人がいること
の2つです。
貸し付けの条件や返済期間は資金の種類によって違います。
問い合わせは、各自治体の福祉事務所です。
母子・父子寡婦福祉資金貸付金
一般的に奨学金を借りて学校に行くと、その後は利息がふくらんで返済に苦しむと聞いたことがありますよね。
母子・父子寡婦福祉資金貸付金の修学資金は、子供の進学のために、無利子で一定資金の貸与を受けられます。
返済期間も20年以内で、通常の奨学金制度よりおよそ5年ほど長く設定されているので、月々の返済額も低くなります。
奨学金を借りないと学校に通うことができないのであれば、利息がかかる一般の奨学金制度などより先に検討するといいです。
修学資金の場合は、親が借受人で子供が連帯借受人になれば、他に連帯保証人が不要の場合が多いです。
自治体によっては、制度の内容が若干異なっているので、詳細は確認が必要です。
義務教育就学援助
経済的な理由によって、小学校、中学校への就学が困難な児童・生徒には、
学用品費、通学費、修学旅行費、通学用品費、郊外活動費、新入学児童生徒学用品費、給食費、医療費等が支給されます。
新学期になると、子供が学校から持ってくる配布物の中にあることも多いですが、年の途中だと問い合わせが必要になります。
「就学援助」という内容が書かれているプリントですね。
給食費が免除になることが多く、毎月の学校の引き落としにビクビクすることが減ります。
問い合わせは各市区町村の教育委員会や在学する学校です。
女性福祉資金
女性の経済的自立と安定した生活を送るために設けられた各資金の貸付制度です。
問い合わせは、各自治体の福祉事務所です。
日本学生支援機構の奨学金
高校から大学院卒業までの学費の貸付制度です。
問い合わせは日本学生支援機構です。
東京都私立高等学校等授業料軽減補助
東京都だけの制度ですが、
私立高校に通っていた家庭の家計が急に変わったり、離婚することになったなどで、
就学が困難になった場合、私立高校の授業料を一部補助してくれる制度です。
- 生活保護の世帯で16万4000円
- 住民税非課税世帯・均等割のみの世帯で12万3000円
- 住民税が一定以下の世帯だと8万3000円
が補助されます。
問い合わせは東京都私学財団です。
その他の奨学金
日本育英会の他にも、進学先の大学にも奨学金制度があります。
例えば、早稲田大学では、学内だけでも給付奨学金が31種類、貸与奨学金が1種類、合計32種類の奨学金が設けられています。
また、奨学金には財団法人や公益法人、民間企業などの民間団体が行なっているものもあって、利用条件はそれぞれ様々です。
問い合わせは、各自治体の教育委員会や大学の窓口です。
子連れでの離婚となった場合、まず気がかりなのは経済面です。一人親家庭は経済的に大変です。
離婚したいと思ったら、準備する際にはしっかりと考えておきたいですね。
それぞれの自治体であらかじめ公的支援を把握しておくだけでも、いざというときに心強いです。
就業支援制度
離婚してからは自分が働かないと収入は得られないですよね。
でも、今まで働いたことがなかったり、ブランクがあるとちゅうちょしてしまいます。
働きながらでも「スキルアップをしたい」「資格を取りたい」などの希望があれば、公的にも離婚後の働き口を促進する就業支援制度があるんですね。
自立支援教育訓練給付金制度
パート勤務などで雇用保険の教育訓練給付を受けていない母子家庭の母親が、
指定された教育訓練給付講座を受講し、終了すると、経費が支給される制度です。
要件に該当するひとり親家庭の場合、経費の60%(20万円を上限)が支給される国(厚生労働省の担当)の制度です。
対象となる講座は、それぞれの市や町、区で違うのですが、通学講座だけでなく通信講座もあってありがたい制度です。
高等技能訓練促進費(高等職業訓練促進給付金等事業)
こちらも厚生労働省で行っている事業ですね。
母子家庭の母や父子家庭の父が、
看護師・介護福祉士・保育士・理学療法士・作業療法士の資格取得を目指す方が対象です。
1年以上育成機関で就業する場合に、修業期間中の生活の負担軽減のために高等職業訓練促進給付金が支給されます。
高等職業訓練促進給付金の支給額は月額10万円(市町村民税非課税世帯)となります。
平成25年度入学者から父子家庭も対象になりました。
マザーズハローワーク
子育てをしながら働くことを希望している人のために、子育てと両立しやすい仕事の情報提供をしています。
ハローワークで面接対策やセミナーをしてくれる、というものですね。
内容は
- パソコンの使い方講習
- ビジネスマナーセミナー
- 応募書類の書き方や面接の対策
- コミュニケーションのセミナー など
就職にむけての不安を解消してくれるものが多いです。
子供連れでも仕事探しができるように、キッズコーナーの設置など子連れで訪れやすくなっているほか、保育所などの情報を提供してくれたり、予約すると担当者が職業相談を受けてくれます。
ハローワークの職業訓練
母子家庭になってから3年以内にハローワークに休職の申し込みをして、
公共職業訓練を受講すると訓練手当が支給されます。
「職業訓練受講給付金」月額10万円というもので、一定の条件を満たすと支給されます。
職業訓練受講手当・通所手当・寄宿手当が含まれます。
お金をもらいながら、仕事に挑戦できる機会の選択ができるので、スキルアップと就職活動をトータルで行ってくれるし、とてもありがたい制度です。
ひとり親になるのがわかっているのなら、できるだけお金は多く持てるように準備していたほうがいいですよね。
離婚時には特にお金に関しての条件をしっかり決めさえすれば、離婚後でも生活に困る事はほとんどなくなります。
逆に、お金の事をしっかり把握しないまま、感情と勢いで離婚してしまうと、あとあと大変になってしまいます。