離婚届を出す時に、早く離婚したいから、
とりあえず親権者を書いておけば、
「親権者の欄は後から変更できるだろう」と思えますよね。
法律上の書面の手続きの延長のように考えると、親権者の変更も書面でできそうな気がします。
または、離婚してから子供と会っているうちに、
子供と一緒に暮らしたい
と思うようになって親権を自分の方に持ってきたい、とか、ですね。
親権者の変更を離婚後にすることはとても大変です。
家庭裁判所が必ず関わってきます。
それも、家庭裁判所の許可です。
書面の提出だけではできないんですね。
その理由は、親権者を親の考え方一つでコロコロ変えると、子供が不安定になるからです。
ここでは、親権者の変更ができる場合と、手続きの流れについて紹介します。
離婚したときに決めた 親権者を後から変えるってことはできるんですか?
できますが,,,とても難しいですよ。
離婚した後に、親権者の変更をしたいという状況になったとしても、父母の話し合いだけでは変更することはできません。
親権者変更には必ず 家庭裁判所 が関わってくるんですね。
必ず、家庭裁判所で親権者変更の調停を経るか、または、親権者変更の審判によって決定されなければなりません。
一度決めた親権者を変更するのはカンタンにできないことを覚悟する必要があるんですね。
手続き的にも、親権者の変更をすると戸籍の変更が必要であるという点もあります。
それよりも、親権者の変更に裁判所がかかわるもっと大事な趣旨は、
父母の都合によって簡単に親権者を変えることができないようにする
という点なんです。
子供をたらい回しにするような身勝手な親によって子供の生活環境がコロコロ変わってしまうからなんです。
でも、親権者をどちらかに決めたからといって、永久に変更できないわけではありません。
事情が変われば親権者を変更することができます。
親権者の変更が認められる場合は、一定の理由があると自動的に変更できる、というわけではありません。
個別に決めることになります。
どんな事情があれば、親権者の変更ができるのですか?
親権者・監護者の変更が認められるのは、家庭裁判所が子供の福祉、利益のために必要があると認めたときに限られます。
「子どもの福祉・利益」の内要って、きっちり法律で決まっているわけではないんですね。
それぞれの夫婦間の子どもの環境によって違うからです。
ただ、かなり限定的に考えられているんですね。
たとえば
こんな特別な場合に限られているのが現状です。
ただ単に親権が欲しいからという親の都合で変更できるわけではないのです。
家庭の状況を家庭裁判所が 調査 して親権者の変更を認めるか決めるんですか?
家庭裁判所の調査官は、事実の調査を行って、親権者の変更が子供の福祉と利益のために必要かどうかを判断します。
家庭裁判所の調査官が調査するポイントは、
などを今の親権者と比較するんですね。
そして、年齢によっては子供の意思などをも考慮して、
子供のためになるのか、という点を重視して結論を出します。
親権者が 子どもをしっかりと育てていない ときも、親権者変更ができるんですか?
現在の親権者に、子供を養育・監護する意思が認められないなどの問題があると、親権または監護権を喪失させられる場合もあります。
子供を他人に任せっきりで行方不明になったり、
子供への暴行や虐待、労働の強制など、
親権の行使が困難または不適当なことで子供の利益を害する場合には、
家庭裁判所の審判手続きで、最長2年間、あらかじめ期限を定めて親権を停止させることができます。
親権の喪失って親権自体がなくなることですか?
事態が深刻な場合は、無期限で親権を喪失させる親権喪失の制度もあります。
親権者が責任を果たすことなく養育する意思が認められない場合の親権停止・喪失の申し立ては、子供自身や、もう一方の親や親族、検察官、児童相談所の所長などが行うことになっています。
親権者の変更が難しい場合の典型例は、「親権者と監護者が同じ場合」です。
親権の変更によって、子供の生活に影響が及ぼされると考えられる場合は、子供を取り巻く環境はできるだけ継続して、安定していることが望ましいという観点から変更が認められることは少ないようです。
だから、親権者と監護者が同じ場合の変更は難しいのが現実です。
元光GENJI大沢樹生さんと元妻で元女優の喜多嶋舞さんとの間の子、大沢零次さんが22歳の交際女性を暴行した疑いで逮捕された事件で、親権者の変更がクローズアップされたことがありました。
もともと夫婦二人の子供として育てられていたのですが、2015年、本人が18歳の時ですね。DNA鑑定により夫の子でないことが判明しました。
結局、誰の子かわからないまま今に至っているんですが、親の都合で親権が二転三転しているんですね。
今は「大人だから」で片付けられないくらい、親権の変更によって子供は大きな傷を負っているのかもしれない例です。
親権者の変更は家庭裁判所がかかわり、ほとんどの場合変更できないことが多いのですが、身近にありそうな親権者変更のケースを二つ紹介します。
離婚してから8ヶ月ほどして、父親の方が心不全で急死してしまいました。
実際に長男の方の面倒をみていた父方のおばあちゃんが、後見人になるということで、後見人選任の申立てをしました。
一方で、元妻である母親の方も前夫の死を知って、長男も次男と同じように引き取って養育したい、と、おばあちゃんに申し入れていました。
しかし、孫を手放す気がないおばあちゃんの方が先に後見人選任の申立てをしたのです。
その後、母親側もすぐに親権者変更の申立てをしました。
そして、長男はおばあちゃんか母か、どちらが養育するかの判断は家庭裁判所にまかせられることになりました。
家庭裁判所が調査した事項では、おばあちゃん側には後見人として不適当な事情はなく、子どもも父が死んでからも祖母の監護のもとで平穏な生活を送っていると判断しました。
経済的にも、父親の生命保険金1500万円の受取人であって、いちおうそれなりの生活はしていて、健康であるし孫に対する愛情面も心配ないとのことでした。
長男自身も、
という理由でおばあちゃんとの生活を望んでいました。
しかし、現在では元妻で母親が
状況がありました。
また、
などの事情を考慮して、親権者である母の愛情ある接触を保持していくことが長男の将来の福祉のためにもつともふさわしいと判断しました。
養育環境の変更での子の心理的に動揺しているかについては慎重な配慮が必要としましたが、母からの親権者変更の申立てを認めて、祖母からの後見人選任の申立ては却下しました(福岡家裁小倉支部S55.5.6審判)。
子どもは父母が別居してからもずっと当時同居していた祖母や父の姉(子どもの伯母)とともに育ちました(当時小学4年生)。
そして、子どもには実の母親は死んでしまっていると教えられてきていました。
調停離婚から3年してから、親権者である父親が死亡しました。
父の姉である伯母は子どもの後見人選任の申立てをしました。
その申立を受けて、家庭裁判所から実母の意向調査を受けた母親は、はじめて前夫の死を知りました。
そのときになって実の子への愛情がかきたてられて、子を引き取って養育しようと実母が親権者変更の申立てをしたのです。
つまり、父の姉である伯母か母親かの判断を家庭裁判所がすることになりました。
家庭裁判所の調査では、
としました。
実母は食堂のレジ係で、他に給食していて事務職を探していたが、衣食住には困らないものの資産はなく、収入は必ずしも安定していないじょうたいでした。
さらに、子どもとは生後7ヶ月から一切の交渉がないばかりではなく、子どもは最近まで実母は死亡したものと思い込んできていました。
また、監護養育されてきた父の姉である伯母とは、真実の母子同様の情愛で結ばれていると認めました。
伯母は小学校教員で結婚の経験はないが、その子を養子に迎えたい気持ちもありました。
裁判所としては
を考えると、子の引渡しをめぐって伯母と実母が争うという事態が予測されました。
そうなれば子の受ける打撃や動揺はさらに大きなものとなることが考えられるとして、当分の間、このまま現状尊重の状態で伯母の養育を受けることが子の福祉に沿うものと判断して、実母からなされた親権者変更の申立てを却下しました。
生みの親よりも育ての親、というもっともな実例です。
親権者変更の申立は、家庭裁判所に「親権者変更」の審判または調停の申し立てを、夫婦のどちらからかがします。
子供の親族であれば、祖母や祖父からでもできます。
調停の申立は、相手方の住所地または当事者が合意して定める家庭裁判所にします。
審判の申立は、子の住所地の家庭裁判所に申し立てます。
子供本人には親権者変更の申立の権利はありません。
親権者とは別に監護者を決めていた場合も、子供の福祉利益のために必要があると認めた場合には監護者を変更することもできます。
親権を持たない監護者が、緊急に親権を行使しなければならない事情がある場合には、
親権者変更の申立をすると同時に、
をしてもらって、
監護者が代行者として親権を行使するということもできます。
申立がされると、まず家庭裁判所の調査官が、現在の親権者の状況が子供の養育、監護にとって適切かどうかを調査します。
子供がある程度の年齢に達している場合には、調査官が子供に直接話を聞く場合もあります。
双方に合意が成立しないときにはこの調査の結果で、現状が子供の養育監護にふさわしくないと判断されて、親権者の変更が認められます。
親権者の変更が認められたら
変更が認められたら、審判の確定または調停成立の日から、10日以内に、審判書または調停調書の謄本を添えて、市区町村役場の戸籍係に届け出ます。
そして、子供の戸籍の身分事項欄に変更した記載がされます。
同じように親権者の管理が不適当だったため、その子供の財産を危うくした場合も、親権のうちの財産管理権のみの喪失も申し立てることができます。
親権喪失の申立があると、審判が確定するまでの期間、親権者の親権行使を停止して、たとえば祖父母などを親権代行者とすることができるんですね。
親権者がいなくなってももう一方の親が自動的に親権者になることはありません。
親権者になりたいのであれば、家庭裁判所に親権者変更の申立を行う必要があります。
親権者は戸籍上の記載事項なので、親権者の変更によって戸籍上の親権者の変更も必要になります。
親権者の変更は親の都合だけでできないので、とても難しい問題です。
とはいえ、状況的に親権者を変更する方がいいと思うのであれば、法律専門家に相談した方がいいです。
子供を育てるにはお金がかかります。
その際に、あてになるのは離婚の時に決めた財産の処分方法です。
財産分与や慰謝料、そして養育費がそれにあたります。
離婚すると、親が二つの家族に分かれることになるので、
普段から接してない方は、養育費を「思い」だけで支払うことになるんですね。
その「思い」も、それぞれの家庭の事情によって、支払いたくても支払えなくなることもあります。
離婚するときに、親権者ではないほうが子どもを育てている場合もあります。
そして、親権者の方は養育費だけ支払い続ける、というパターンですね。
でも、養育費の取り決めをして最後まで支払いをしている人は2割にも満たない統計が出ています。
8割の人はあきらめと泣き寝入りをしているのです。
もし、養育費の不払いで泣き寝入りを強いられているから親権を変更してから・・・というなら考え直したほうがいいです。
養育費は子供にとっての権利で大事なお金です。親の自分が泣き寝入りするのは子供への約束も自分が破っていることになるのです。
養育費の請求を自分で行う必要はありません。
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