離婚協議書の書き方に決まりはない
協議離婚書の内容も何でもOK
そもそも話し合いで離婚できる協議離婚や調停離婚では、離婚の原因は必要ありません。
だから、協議離婚書も不要に思えるのですが、「言った」「言わない」のいざこざがぶり返されるのも嫌ですよね。
協議離婚では 離婚協議書 をつくっておいた方がいいと聞いたのですが、様式とか書き方とかは決まっているんですか?
協議離婚だと口約束でも離婚届を出せば離婚できますからね。
後々のために、約束した事を書面に残しておいた方がいいですよ。
離婚協議書は縦書きでも横書きでもOKです。
手書きでもいいですし、様式も自由です。
もちろん、書いてある内容も法的に公序良俗(例えば、再婚してはいけないなど)に違反しないようなことなら、どんな事を書いてもOKです。
夫婦それぞれ違う生活様式がありますからね。
ここでは、協議離婚する際に「協議書」として書くべきサンプル例を紹介します。
離婚協議書サンプル例
離婚協議書
「念書」「覚え書き」「合意書」などの題名でもかまいません。
夫○○太郎(以下、甲という)と妻○○花子(以下、乙という)は、離婚について協議した結果、次の通りに合意確認する。
記
第一条 甲と乙は協議離婚すること年、離婚届に各自署名捺印した。
第二条 甲乙間の未成年の子一郎(平成○年○月○日生、以下丙という)の親権者を乙と定める。
20歳未満の子供の親権者・監護者をどちらにするか決める
第三条 甲は乙に対し、丙の養育費として令和○年○月から丙が成年に達する日の属する月まで、毎月金○万円ずつ、毎月末日に限り、丙の指定する丙名義の○○銀行○○支店普通預金(口座番号○○○○)に振り込む方法により支払う。
「病気や事故、その他特別な出費が必要になったときは別途協議する」などの文言も入れておいた方がいいです。
第四条 乙は甲に対し、甲が毎年12回(原則として一ヶ月に一度)丙と面接交渉することを容認する。面接交渉の日時、場所、方法は、丙の福祉を害することがないよう甲乙互いに配慮して協議決定する。
どのくらいの頻度で、いつ、どこで、どのように子供と会うのかを細かく入れておくと約束が守られやすくなります。
第五条 甲は乙に対し、財産分与として、甲所有名義の下記不動産を譲渡し、令和○年○月○日までに、乙のために財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする。
- 土地
所在 東京都西北市東西町一丁目地番 2番3
地目 宅地
地積80.00平方メートル
- 建物
所在 東京都西北市東西町一丁目2番地3
家屋番号 2番3
種類 居宅
構造 木造スレート葺2階建床面積
1階 40.00平方メートル
2階 30.00平方メートル
第六条 甲は乙に対し、慰謝料として、令和○年○月○日限り、乙の指定する乙名義の銀行○○銀行○○支店普通預金(口座番号○○○○)に振り込む方法により支払う。
第七条 甲(第1号改定者)および乙(第1号改定者)は、厚生年金分割の対象期間にかかる被保険者期間の標準報酬の改定または請求することおよび請求すべき案分割合を0.5とすることで合意した。乙は離婚届提出後、速やかに年金分割の請求をすることとする。
甲(昭和○○年○月○日生)(基礎年金番号 ○○○ー○○○)
乙(昭和○○年○月○日生)(基礎年金番号 ○○○ー○○○)
第八条 甲と乙とは、それぞれ住所・勤務先を変更した場合は、速やかにお互いに変更後の新住所、新勤務先の名称、所在地および伝は番号を相手方に文書で通知するものとする。
第九条 甲と乙は離婚に伴う財産上の問題はすべて解決したことを確認し、甲と乙との間には、本合意書に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。
第十条 甲と乙は、本書作成後直ちに本協議書各条項の趣旨による強制執行認諾約款付き公正証書を作成することを合意する。
以上の通り合意したので本書二通を作成し、甲乙各自保持する。
令和○年○月○日
住所 ○○県○○市○○町○○番○号 甲 ○○太郎 印
住所 ○○県○○市○○町○○番○号 乙 ○○花子 印
どういう内容の離婚協議書を作成しても自由なのですが、「一生、再婚しないこと」などの条項を入れてもこうした内容は公序良俗に反するとされて無効です。
そのほかにも、相手への恨みつらみなどの感情を入れたとしても、協議書としては何の意味もありません。
離婚協議書は法律のポイントを押さえて作成しないと、不利になることがあります。
法律的な解釈が必要なくらいの離婚の相談をしたいならば、最終的には弁護士に相談したほうがいいです。
→離婚したいと思った時に弁護士にする離婚の「相談」と「依頼」
離婚協議書を作成したら双方が保管をしておく
離婚協議書を作成したら、2通作成して、双方が署名押印したものをそれぞれ保管します。
これだけでも、後々になって言った言わないなどの争いを避けることができます。
どんな内容を書いておくといいんですか。
相手はたとえ浮気を認めていたとしても、そういう性格の人は後々「証拠を見せてみろ」と手のひらを返すことが多いからです。
すぐにはおおごとにせず「証拠集め」と同時に、プロの探偵の助言を聞いて、離婚の条件が有利になるように、作戦を練ってくださいね。
書いたものを公正証書にしておく
離婚協議書は、公正証書にして、強制執行認諾文をつけておくと、完璧です。
離婚協議書を公正証書にしていないとどうなりますか?
離婚協議書を公正証書にしていないと、支払いがされなくなった場合には、
家庭裁判所に調停の申立をする→調停で解決できない場合→裁判→判決、などの手続きを行わなければなりません。
離婚協議書を作っても、このままだと 法律上の契約 にならないんですよね。
正確に言えば、法律上の契約にはなるにはなるのですが、離婚協議書は作っただけでは法的な強制力がありません。
「債務不履行の場合は強制執行をしてもかまわない」という文言を入れた「強制執行認諾条項」を盛り込んだ公正証書を作成しましょう!
公正証書の文言に「債務不履行の場合は強制執行をしてもかまわない」を入れる事が大事、というわけです。
「もし、約束を破ったら、裁判所からお金を使わないように命令されても、文句は言いません」と宣言する文言を入れて公正証書にする、というわけです。
そうすれば、お金を払うって約束したのに払ってくれなくなったら、直接本人に言わなくてもいいんです。
裁判所に「お願いします」と訴えることで、裁判所が「払え!」と宣言するだけでなく、差し押さえまでして給料を差し押さえる手続きをしてくれるようになるんですね。
公正証書は公証人役場で公証人に作成してもらいます。
こうしておくと、裁判の確定判決と同じ強制執行が可能になります。
公正証書を作成するのに多少の費用はかかりますが、公正証書にしておけばいざという時、強制執行ができるメリットがあります。
お金がからむ離婚は資産価値も把握しておく
離婚を決断して、まだ20代で子供もいない、というカップルなら、財産などでもめる事もあまりないかもしれません。
でも、長年夫婦をやってきて、子供がいたり、マイホームを買っていたりすると財産分与などの問題もでてくることもあります。
特に、マイホームを購入した夫婦が、自宅をどうやって処分するか、というのは、どうしてもお金の処分方法などが絡むので、によくありがちな問題なのです。
そのお金をあてにして財産分与や慰謝料、養育費を捻出したり、強制執行してくれない場合のお金の出どこになる事もあるからです。
マイホームを持っていて離婚をする場合には、売却したらどれくらいの価格になるかを出しておかないと、資産価値からの処分を検討することもできません。
住宅ローンはその価格から差し引きます。
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