慰謝料は離婚のときに必ず支払うものではない
原因があるときだけ支払う慰謝料
離婚したら慰謝料が発生する
離婚したら慰謝料がもらえる
そう思って、離婚したいけど慰謝料を払いたくない!
と思っている方も多いですよね。
でも、慰謝料を支払う必要があるのは、離婚原因を作った人がいる場合だけです。
浮気した方が慰謝料を支払うのは典型的ですよね。
実際の結婚生活では、どちらかだけが離婚の原因がある、ということは少ないものです。
お互いに離婚したい原因がある場合には、過失相殺になってしまう方が多いんです。
今回は、慰謝料を支払うべき責任があるとは、どういう場合かを紹介します。
慰謝料を払うのは離婚原因を作った責任がいる場合だけ
結婚生活はある程度の我慢は必要なんですが、
我慢したくないというのであれば離婚するしかありません。
そういったこともあって、最近は理由のない離婚が増加しています。
結婚生活の長い、熟年離婚の場合って、明確な離婚の理由がないことも多いですよね。
そういう離婚したいけど理由がないときに限って、お互いの主張はたいていは相手の非の応戦だったりします。
妻 「あなたが悪いのよ。前みたいにお互い話す時間も持ってくれないし。一緒にいられないわよ。」
夫 「君こそなんだよ。料理もろくにしないでいつも冷凍食品で。こんな結婚生活ありかよ」
妻 「えぇ、でもあたしはあなたの奴隷になるために結婚したんじゃないわよ。その態度がいやになったの。」
と、こんな風に婚姻の破綻原因が相手にあるというお互いの主張です。
ここまでは、いいとしても
妻 「 別れる以上は 謝料を請求するわ。
つまらない結婚して傷ものになっちゃったから。被害は大きいわよ。」
夫 「こっちこそ被害が大きいぞ。おれの信用がおまえのせいでがた落ちだ。
おれが慰謝料を請求する方だ。」
こんなやりとりで離婚話が進むこともあります。
この場合だと、離婚理由が明確にあるわけではないので、よくある性格の不一致という原因になりそうです。
そもそも、慰謝料という考え方は、民法上の”損害”が発生することが必要で、
離婚原因を作った責任がある場合だけなんですね。
離婚理由が明確にない性格の不一致だと、慰謝料という考え方自体が発生しないことになってしまいます。
性格の不一致が、どちらか片方のせいだ、とはいえませんよね。
別れたい側が慰謝料を払うのが最近の風潮
夫婦がお互いにいやになった場合も、
離婚原因が一方にだけある場合もあります。
たいていは、両方にありますが、さらに程度が異なる場合もあります。
離婚原因は微妙なもので、協議離婚をするにしても、
お互いに慰謝料の請求し合うのはよくあることです。
慰謝料は、法律的には違法行為(不法行為または契約違反)をした者が、
精神的損害を受けた者に対して支払う損害賠償です。
離婚の直接の原因を作った者が支払い義務者になるのですが、相手にも悪い点がある場合は、過失相殺ということがあります。
両方の悪いところ(過失)を考慮して、違法行為者の負うことになる損害賠償額を小さくするのです。
理論的に慰謝料の額が決まる流れは、
まずどちらが本来の違法行為者かを決める
↓
相手の損害額を調べる
↓
相互の過失を認定考慮する
↓
慰謝料(損害賠償額)が決定
という方法になります。
離婚原因が両方に同程度ある、被害者もせいせいして精神的損害がない場合は慰謝料請求は成り立ちません。
かつては男性が女性に慰謝料を払うべきだとされた例が多かったし、
今でもその傾向にあるんですが、これからは変わってくるでしょうね。
最近の傾向は、再婚をしたい方とか早く離婚したい方が、慰謝料を支払わざるを得なくなるようになってきてます。
慰謝料に関する芸能人のニュースを見たときには、○億円とか出ているときもありますが、一般のサラリーマンだとせいぜい200万円前後です。
慰謝料の問題でこじれて、離婚できない期間が伸びてしまう方が自分の損失が大きいと思ったら、
サクッと支払ってしまう方向に転換するのも一つの手です。
離婚だと思ったらまずは財産チェック
離婚したいと思いつつ、離婚を言い出した後は、夫婦二人が冷静に話し合うことが難しくなります。
特に、離婚後の財産のことについては話し合えないとこじれることも多いです。
離婚について話し合う前に家の財産チェックをしておいた方がいいです。
大まかでいいのでまずは、この家にどれくらいの夫婦での財産があるのかを把握することです。
電化製品など細かいものは後回しです。
気をつけておきたいのは、マイホームを持っていて離婚をする場合には、売却したらどれくらいの価格になるかを出しておかないと、資産価値からの処分を検討することもできません。
住宅ローンはその価格から差し引きます。
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慰謝料の時効を主張して支払いを逃れることもできる
慰謝料を請求する権利は、3年が経過するとがなくなります。
民法724条の条文、いわゆる時効ですね。
第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
その3年がどこから始まるのかは、たとえば、浮気の例でいえば最後の浮気現場や状況・相手を知ってから、と考えられているんですね。
法律用語では「時効の起算点」っていうものです。
この3年経過すると慰謝料を請求する権利がなくなってしまいます。
正確には、浮気の確証があったことを相手が証明する必要がありますが、
慰謝料を支払いたくない場合は、この期間をうまく使うことで、逃れられるかも……しれません。
離婚の話をする時に、数十年前にあった浮気の話を持ち出さたときに、時効は使えそうですね。
結婚期間が長く熟年離婚なら、かなり前の浮気は、慰謝料を請求されても、法的に時効を主張することができます。
もしかしたらその分、財産分与の方が額が高くなるかもしれませんね。
慰謝料には、正確な基準がないので、どう対応していいものか、迷うときはあります。
法律的な解釈が必要なくらいの離婚の相談をしたいならば、最終的には弁護士に相談したほうがいいです。
→離婚したいと思った時に弁護士にする離婚の「相談」と「依頼」