財産分与の対象になるお金は、離婚する時に結婚中の夫婦の共有の財産を分けることです。
独身時代にためた貯金は、夫婦で共同して作り上げたものではないですからね。
となると、離婚で財産分与をする際には、独身時代の貯金は差し引いてOKってことになります。
ところが、結婚後に独身時代の貯金を、結婚したときに
合算して使っていたりした場合はどうでしょう?
夫婦の共有財産になってしまいそうですよね。
財産分与の対象となる夫婦の共有財産は、財産の名義によるのものではなく、実質的な判断で決まります。
でも、実際には、独身時代の貯金が財産分与の対象になるか、ならないかの違いは
結婚時にきっちり管理を分けているか、できまってしまいがちです。
ここでは、独身時代の貯金を、財産分与で計算外にすることができるのか、詳しく紹介します。
そもそも、財産分与とは、結婚してから夫婦で協力して築いた財産を、
離婚の時にそれぞれの貢献度に応じて分配することです。
法律で、離婚の際には、相手方に対し財産の分与を請求することができる(民法768条1項)と定めています。
この財産分与の割合を決める貢献度は、離婚裁判をしても、妻が専業主婦であってもほとんどが夫婦財産分与の2分の1ルールになっています。
財産分与の2分の1割合を前提として、独身時代の貯金のよくあるパターンを追ってみますね。
例えば
結婚するときに、
が
それぞれの銀行口座にあったとします。
夫は姓名が変わらずに、そのまま自分の銀行口座を家庭の口座にした。
妻は会社を辞めて専業主婦になり、5年間結婚生活を送りました。
夫名義の家庭の口座には、300万円の貯金がたまって、現在500万円になりました
(生活費の出し入れはこの口座からしているとします)。
妻の銀行口座は、独身時代の貯金そのままなので200万円のままです
(利息は計算上なしです)。
この状態で、離婚に際して財産分与をすると、
夫名義の家庭の口座の500万円は2で割って、250万円ずつ夫婦に分けられることなってしまいますよね。
一方で、妻名義の自分の口座は変化なし。
結果
になってしまいます。
なんだか、夫の方は家の口座にしたために、独身時代の貯金が守られていない一方で、妻の方は、独身時代の貯金が守られているような気がします。
よくあるケースですよね。
結婚した当時は、まさか離婚なんてすると思っていないから、
「通帳を全部私に預けて!」と言われたら渡してしまいますからね。
独身時代に貯金していた通帳を、全て妻に渡してしまった夫が多いんではないでしょうか。
本来は、結婚する前の貯金は夫婦でも別々に管理しているのがベストですよね。
夫が働いて、妻が専業主婦なら、夫の給料で、生活はすべてやりくりするという家庭が多いといわれています。
ただ、実際は足りない部分は夫婦でお互いの独身時代の貯金から出したりしてしまいますよんえ。
すると、結婚生活の中で、生活費やら、携帯代や車の維持費などなど、その後はどの口座からどれだけ使ったのかもわからなくなってしまう。
給料日には、妻がお金を管理していたら、「お金がないわ!」と言われるのが口癖になりってたりですよね。
でも、妻の独身時代の貯金はどれくらいか不明たけど、おそらくはたくさんあるかもしれません。
夫の小遣い2万で毎月やりくりする中で、妻が欲しい時に好きなだけお金が出てくるのは、独身時代の貯金だったりするわけです。
夫の貯金は家族の生活費で消え、妻の貯金は家族の生活費に全く入れないということになってしまうわけです。
こうなってしまうと、離婚時の財産分与では、なかなか独身時代の貯金がどれだけあって、どれくらい使ったかの証明は難しいです。
結婚した時に渡した通帳が、離婚の財産分与にまで影響があるとは思わないですからね。
女性は、基本的に
「夫の稼ぎは家族のもの。妻のものは妻のもの」
と自分に都合よく決めるものです。
専業主婦になった妻は、独身時代の貯金をしっかりキープしていることも多いです。
それはそれで、穏便な結婚生活を送ることができるなら、夫婦円満でいいですよね。
ただ、離婚を考えるとなると、独身時代の貯金が財産分与の対象になるか、ならないかは、離婚の時点だけでは理屈上のものでしかなくなってしまう、ということです。
確かに、夫婦共有財産なのか独身時代の貯金かの違いは理論上はあり得ます。
財産分与の対象となる財産とは、結婚してからお互いの協力で築いた共有財産なので、独身時代の貯蓄は「特有財産」で対象外です。
結婚前の資産は結婚しても個人のものです。
そもそも、離婚する時に財産分与の対象になるもの(=共有財産)、
つまり、財産分与の対象となる夫婦の共有財産は、財産の名義によるのものではなく、実質的な判断で決まります。
婚姻中に夫婦が協力して形成・維持された財産なら、夫か妻の名義は問わない、ってことなんですね。
「共有財産」は、文字通り二人のものです。
管理は一方がするにしても、夫婦でお互いが支出を知る権利はあります。
もしも、妻の方が、夫の独身時代の貯金を妻の口座に移していたりしたら、結婚前の財産がどうのこうの言えないですね。
離婚することになって夫の貯金口座がすっからかんだったら、旦那さんの独身時代のお金返せってことは無理でしょう。
独身時代の貯金が離婚時に財産分与の対象になるかならないかの違いは、すでに結婚した時に決まっているんです。
離婚したいと思って、離婚を言い出した後は、夫婦二人が冷静に話し合うことが難しくなります。
特に、独身時代の貯金のことを話題に持ち出したら、こじれることも多いです。
離婚について話し合う前に家の財産チェックをしておいた方がいいです。
大まかでいいのでまずは、この家にどれくらいの夫婦での財産があるのかを把握することです。
電化製品など細かいものは後回しでいいですよ。
ご自宅を結婚後に夫婦の財産で購入したら、財産分与の対象になります。
離婚するときの財産分与割合は、夫婦で2分の1が通常です。
もし、独身時代の銀行口座をそのまま家庭用に使っていた場合には、割合が不明になってしまいます。
特に、財産分与時に影響するのが、生活費のやりくりに使った銀行口座です。
なりゆきにまかせて使っていたら、財産分与の「対象になる」のは「結婚後のもの」は理論上だけになってしまいます。
名義でなく実質で決まる夫婦の財産です。
できれば、結婚した時点で夫婦の財産としての口座を用意しておくとよかったかもしれませんね。
財産分与を計算するとき、ご自宅は売らなくても査定額が計算の基準になります。
お金の計算は知っておくと有利になりますよ。