離婚したいけど経済力がない妻に夫の武器は「お金」実は不安と恐れの裏返し

【離婚体験談】経済力がない妻に夫の武器は「お金」

妻が経済力をつけることを恐れている

 

夫の給料で生活し、妻は専業主婦、夫は妻を働かせない。

 

理想的な夫婦として言われることもありますが、40~50年ほど前の昭和時代の夫婦形態ですよね。

 

令和時代の専業主婦希望の妻は、夫の給料だけが目当てのATMな結婚生活が理想ってよく言われます。

 

『金の切れ目が縁の切れ目』

 

とは昔からよく言われます。

 

夫はお金で妻を縛りつけますが、稼ぎがなくなったら不用品と化してしまいます。

 

夫は「お金」が武器。妻は「お金」に従う。

 

そんな結婚生活だから、夫の稼ぎが悪くなったら離婚、ということになってしまうのです。

 

「妻が外で働くこと」を嫌がる夫っていますよね。

 

何かとお金は必要だけど、妻が外に出て働いて稼いでくることは嫌がるという、、、

 

どこか、矛盾しているけど、本当は男が何よりも恐れるのは、女に見限られること。

 

隠されているのは恐怖なんです。

 

妻が働くことでお金を得てしまうと、離婚したけど経済力がない妻に、夫は「お金」という武器を使えなくなってしまうのです。

 

でも、夫自身も「お金」という経済力がなくなってしまうと、もう離婚という道しか残らなくなります。昭和風な考え方の夫婦の離婚体験談です。

 

 

経済力がない妻に見切られた離婚【離婚体験談】

「女は家庭」タイプの夫との日々

 

夫の藤代啓一さん(仮名)は47歳。
一流ではないけど商社に勤務しています。

 

妻の琴美さんは同年代の専業主婦です。

 

結婚当初から、啓一さんは琴美さんに専業主婦で家庭を守るように、強要していました。

 

啓一さんの方ではそれなりの理由はありました。

 

  • 子供をカギっ子にしたくない
  • いつも母親がそこにいてこそ家庭
  • そもそもお金を稼ぐのは男の役目
  • 女がわざわざ外で苦労する必要はない
  • 家事と仕事が両立するはずがない
  • 子供を産み育てる役目が女性

 

子供が大きくなるにつれて、家計がどんどん苦しくなっていくので、琴美さんは啓一さんに何度も「パートで家計の足しにしたい」とお願いしました。

 

でも返ってくる言葉はいつも同じでした。

 

「家計が少々苦しくたって何とかやりくりするのが主婦の役目だろう

 

それを後回しにして金を稼ごうとするのは間違っているし、男は子供を産むことも母乳も与えることもできないから、外で仕事をするんだよ」

 

っていう理屈をさんざん言っていました。

 

けれど、ほんとうのところは

 

女は家庭にいるべきであって、妻子を養うのが男の甲斐性だ

 

と信じて疑わないすこしばかり古くさいタイプの男性でした。

 

現在の団塊世代のはしくれともいわれる今の50代以降にはこの古くさいタイプの男性はよくいます。

 

若い頃にはニューファミリー世代などと言われて、いかにも新しい時代の夫であり父親であるかのようなスタイルだった頃です。

 

ところが、本音では「妻は家庭で」を縛り付けたがっているのです。

 

啓一さんはといえば、まだ47歳なので、そんなに古くさい世代ではないはずなのですが、「妻は家庭で」のタイプです。

 

この世代でもまだまだこういった古くさい考え方をしている男性はいる、ということなんですね。

 

特に、男性の母親が専業主婦だとか、人に物事を任せるのが苦手なタイプというのは、家事は女性の仕事と思い込んでいるところがあります。

 

妻の琴美さんの方は結婚してから10年ほどは、夫の言葉に従いました。

 

従ったと言うよりも、子育てという全力を要する役割があるので、外で働くことなど考えられないで過ごした、という方が実情に近いかもしれません。

 

 

昭和の頃は、今でいうワンオペ育児が当然の時代でしたからね。

 

子どもたち同士が2歳しか離れていないので、年の近い兄弟で一緒に遊んでくれる利点はありました。

 

とはいえ、やんちゃな子供たちの喧嘩をさばいたり、ママの取り合いに対応すると労力も増えます。

 

幼稚園から帰ってきてから夕飯、お風呂、寝かしつけまで自分の自由時間はありません。

 

幼稚園の夏休みなどの長期休暇のときは、これが1日中、続いていました。

 

夫 啓一さんは「子育ては妻の役目」という考え方なので、子供の相手すらすることもありませんでした。

 

琴美さんは専業主婦として、毎日、子どもの相手をする時間がとてつもなく長かったんです。

 

もちろん、本当に働きたければいくらでも方法はあったのかもしれません、

 

が、彼女の場合には子育てという役割を重視して、楽しみながら生活をしていました。

 

子育てがひと段落して働きたい気持ちになる

子育てがひと段落して働きたくなる専業主婦の妻
時が経ち、子供も小学校の3年生くらいに成長するころになると、全力で子育てという役割も減り、少しだけ時間に余裕がでてくるようにになってきます。

 

まして、琴美さんように乳幼児期にたっぷりと時間と手間を注いだ子育てをすると、子供は親離れしやすくなります。

 

小さいときの子供たちは、琴美さんがいなければ昼も夜も明けないほどでしたが、それも小学校に入る頃には一段落していました。

 

上の子が3年生、下の子が1年生になった頃、かなり手持ちぶさたな日常生活を過ごすようになってしまいました。

 

そうなった時の選択肢はいろいろあったはずです。たとえば、趣味や社交に時間を使うという過ごし方もあるかもしれません。

 

または、家事によりいっそうのエネルギーを使って家族みんなの快適な日々のために料理の腕前を上げる、という過ごし方もあったかもしれません。

 

けれど、琴美さんの気持ちはそれらへは向きませんでした。

 

「外に出たい。働きたい。」

 

そう思うようになりました。

 

それはごく単純で素直な、裏も表もない欲求であったはずです。

 

ただ単に、家にいてヒマしているより、外に出て働きたい、と思っただけなのです。

 

この人と暮らすのはやめよう

 

啓一さんは琴美さんの「外で働きたい気分」をさまざなま方法でさえぎりました。

 

「妻が働くと税金が高くなる」
「いままで家庭にいて、いきなり社会に出るなんて、雇う側も迷惑する」

 

けれど琴美さんはあきらめませんでした。

 

夫のこだわりを受け入れ、少なからずの無理強いをされての約束も重ねて、やっと働くことを許してもらいました。

 

それは、

  • 家事や食事の手抜きはしない
  • 朝は子供たちを学校に送り出してから出勤する
  • 残業や夜のつきあいは原則としてしない
  • 遅くとも夕方6時には帰宅する
  • 子供の学校行事への参加を仕事より優先する
  • 子供が病気の時は仕事を休む

などなど

 

夫が要求した事項はずいぶんとあさましかったものです。

 

要するに、

 

働きたいなら働いてもいいけど、オレは一切協力しないからな。

 

オレに負担をかけるなよ。

 

というものです。

 

女性の立場から見たら、「言いたい放題よく言うわね」、と怒っても当然の身勝手な態度です。

 

今の女性から言わせてもらえば「言いたい放題」の夫の主張ですが、男性、とくに団塊世代の男性たちの多くは不思議には思わないんです。
どちらかと言えば、

 

「まぁしょうがないんじゃないか。ふつうはそうしてもらわないと困るし、そうじゃないと男として外で安心して働けないじゃないか。」

 

と啓一さんの考え方を支持するほうが多いようですね。

 

そして、さらに

 

「いくら女房ががんばって働いたって、一家の大黒柱のオレの収入には遠く及ばないんだから当然だろ。」

 

と。

 

そんな本音があって、夫である啓一さんの発想を少しも身勝手と思わないんです。

 

男の武器は、「お金」という経済力だ

 

収入の多い仕事の方が価値が高い。

 

そんなものは身勝手きわまる思い込みでしかありません。

 

でも、この思い込みにとらわれているのは必ずしも男性ばかりでなく、妻である女性もとらわれがちなのです。

 

とくに、専業主婦の中には「劣等感」を抱えている人も多いです。

 

その劣等感の対象とは、稼いでくれている夫であって、妻はお金にならない家事しかできない、と思っていることです。

 

特に、高齢になっての離婚を考える熟年離婚を考える夫婦が、旦那にしがみつくしかないって思うことが多いですね。

 

キャリアもないスキルもない、若さもない、 稼げない

 

まさに、専業主婦の落とし穴です。

 

夫が専業主婦の妻を働かせない理由は「不安」と「恐れ」

 

女性たちの中にも、お金にならない家庭での働きよりも、お金になる仕事の方が価値が高いと思い込んでいる人が多いんです。

 

でも、琴美さんは違いました。

 

彼女は純粋に「働くこと」が好きなんです。だから収入の多い少ないにはとらわれませんでした。

 

反対に、啓一さんはこだわりました。

 

啓一さんは収入の差を比較して琴美さんをさげすみました。

 

それは夫自身が抱いていた「不安」と「恐れ」の裏返しだったのです。

 

もし妻が自分の経済力に少しでも自信を持ったとしたら、

夫であるオレの領域からはみ出して生きるようになってしまうに違いない

そう思ったからです。

 

そして、琴美をコントロールできなくなってしまう、だから押さえなければ!いい気にさせてはいけない、と。

 

夫の啓一さんは、自分が”自立”できなる自信がなかったので、妻が経済的に自立して、自分が置いてけぼり状態にされるのを阻止していたのです。

 

啓一さんは、妻を身勝手な要求でがんじがらめに縛って、のびのび活躍する余地を奪っておきながら、さらに意地悪を言いました。

 

「給料! たったそれだけかよ。無理して働いたって、小遣い程度にしかならないんだな。」

 

もちろん啓一さん自身は、自分の行動の裏にあるのが、不安と恐れだとは気がつかなかったはずです。

 

そうとは認めたくないからこそ、妻を傷つける言葉を投げつけることで、自分の心にうごめく不安と恐れを一時しのぎで解消し続けていたのです。

 

子供も二人とも高校生になったころ、そんな意地悪な言葉を何度も何度も言われているうちに、琴美さんの心の中で何かがチーン!と音を立てて割れたのです。

 

「もういいや」

 

そう思ったのです。

 

「もういい。この人と暮らすのはやめにしよう。」

 

妻の琴美さんの方は見抜いてしまいました。

 

「彼は私をさげすむことで支配しようとしている。経済力を振りかざすことでも支配しようとしている。

 

自信がないんだな。自信がないから私の足を引っ張るんだ。だったら別れる方がお互いのため。」と

 

もちろん、即刻離婚、というのは無理でした。

 

すぐにでも離婚したい気持ちはあったのですが、離婚後に一人で暮らしていける経済力がない、と思っていたからです。

 

でも、心の中としてはすでの音をたてて崩れていったのです。チーン!となった時点で「この夫婦生活は終わった」、と思っていたのです。

 

それから2年後、子供たちも、社会人・大学生になった時、法的にも物理的にも琴美さんは啓一さんとの暮らしを解消し離婚していました。

 

皮肉なことに夫の啓一さんは、会社ではリストラの対象となり給料は激減、

 

反対に、妻 琴美さんはパートから正社員として働いていました。

 

そして、給料というお金の面では夫よりも上回るようになっていました。

 

この離婚体験談のポイント
  • 夫は「お金」の武器を使って、経済力を振りかざさない
  • 離婚したいけど経済力がない劣等感は女性側も持っていることに気づく

 

妻をコントロールできなくなる不安

妻の方が稼ぎが大きくなる夫の不安と恐怖

 

妻が夫より稼ぐようになったらどうしよう

 

おそらく大多数の男性が潜在的に感じている不安と恐れでもあるはずです。

 

男の夫の方が給料を持ってきているから、妻は夫のいうことに従え、というものです。

 

だから、自業自得とは思いながらも夫の啓一さんを非難する気にはならない男性も多いはずです。

 

そうと気がつかないまま、将来のどこかで妻に見限られることを恐れていたからこそ、本当に見限られる結果を招いてしまっています。

 

どちらかといば、男性という生き物の情けなさを象徴しているようです。

 

そういった男性の視点から見ると、妻の方が冷たくて冷酷な女性にも思えます。

 

夫婦は自立してないとともに依存しあってしまう

 

そもそも、夫婦ともども「自立」していないと、お互いに依存しあってしまって、いつかは不満が爆発してしまうものなんですよね。

 

その自立の中味は単純で「精神的な自立」と「経済的な自立」です。

 

夫も妻も『一人でも生きていける』という「精神的な自立」がないと、『離婚したいけど経済力がない」という「経済的な自立」ができないんですね。

 

すると、いやいやながらも夫婦生活を続ける共依存状態になってしまうわけです。

 

いずれ、我慢するのがいいのか、離婚する方がいいのか、という選択になる時期が来てしまうわけです。
離婚したい でも我慢するか離婚するか どっちが得?

 

結婚はある意味では怠惰な安心をもたらすようなものです。

 

不安や別れなどの心の変化があっても、結婚というもので縛り付けることができますからね。

 

とくに男性は「つり上げた魚にエサはやらない」と決め込みますしね。

 

もともと未熟な男性の場合には、結婚したら心が成長しなくなってしまう危険さえもあります。

「離婚」を言い出す前にする『離婚』を考えたときすべき準備とは