終身雇用制度がすっかり崩れて、いつ誰がリストラされてもおかしくはない時代になりましたね。
つい30年ほど前では日本では、会社倒産以外は、リストラはほとんどありませんでした。
その頃入社したサラリーマンは、ちょうど今、中高年です。
ただ、特に中高年になると、再就職もできなくなる ことも多いです。
再就職するための「転職市場」では『四捨五入の法則』があるといわれています。
年齢が55歳を過ぎると、60歳で定年退職した人と同じカテゴリーに入れられます。
データで見ても、50代の前半までならかろうじて離職後1年以内に過半数の人が転職できています。
ですが、55歳を超えると再就職率は4割以下に激減してます。
40代でも役職がついて高い給料をもらっていると、リストラの対象にされてしまうこともあります。
リストラされてそのまま再就職できずに、妻の方も離婚したいと思っている家庭も少なくないようです。
リストラがきっかけで離婚するのはよくある離婚話になっています。
この離婚体験談では、リストラされ、夫のプライドのせいで再就職ができず、離婚に至ってしまったケースを紹介します。
夫 吉田一也さん(仮名) は地元の食品加工会社の総務課長でした。
年齢も48歳でいわゆる中高年の域に入っています。
賃貸のアパートに高校生の子供一人と同じ年齢の妻 佳代子さん(仮名)と暮らしています。
一也さんは、出世頭ではありませんが、まじめで人のいやがる仕事でも黙々とこなし、着実に実績をあげてきたことを会社から評価されていたのです。
しかし、営業から総務に異動してから7年、バブルが崩壊してから最近までの総務の仕事といえば、まず第一にリストラでした。
同僚や従業員とその家族の恨みつらみの声を受けながら、ずっと社員のリストラ、つまり解雇を実行してきたのです。
その努力の甲斐があって会社のリストラ計画は順調に進み、人件費も予想以上にカットできましたが・・・・・
従業員の4割削減という目標に達成するまであともう少し。
来年度には達成できるであろうという頃、リストラをし続けていた総務課長である自分自身が会社から「退職してくれないか」と言われたのです。
いくら会社が生き延びるためとはいえ、大勢の社員を辞めさせています。
その責任は誰かがとらなければならなかったのです。
そしていわゆる身代わりにされたのが総務課長である一也さん自分自身だったのです。
「全ては会社の指示と命令で、会社のためにやってきたことなのに・・・・・」
会社に言いたいことは山ほどありました。
『どうして自分なんだ!』という気持ちも強かったのです。
それでも、結局は何も言わずに言われるがままに辞表を提出したのです。
辞表を出さざるを得なかった、ということかもしれません。
それまで同僚たちのリストラをしてきた自分が、だだをこねて会社にとどまるのは筋違いのような気がしたし、
上司である部長も「再就職先は必ず世話をするから」と約束してくれたからです。
ところが、いざ辞表を出すと再就職話は立ち消えになっていました。
よくよく考えると、黙って辞めさせるための会社としての口実だったのです。
もともとありもしない再就職話をアテにしていたわけでもなかったのです。
退職する前から、有給休暇の消化として休みの日は、
などの転職活動はしていました。
しかし、これといって特別な資格もなく、しかも四捨五入したら50代という年齢
ほとんどは門前払い状態でした。
景気が良くなりはじめたので就職口も多いと聞いていたのに、魅力的な求人はほぼ30代まででした。
もし、就職ができそうなところはあっても収入は今までの半分以下。
それも待遇としては一年ごとの契約社員です。
もちろん退職金がありませんし、福利厚生も正社員とは比較にならないくらい粗末なものでした。
再就職が大変なことは、覚悟していたとはいえ、ショックが大きかったのです。
また、毎年、解雇を心配するのはもうこりごりだったのです。
『こんなことになるなら、素直に辞表を書くんじゃなかった』と悔やむ日々が続いていました。
心のどこかで、いくら中高年の雇用事情が厳しくても高望みさえしなければ勤務先くらいは見つかるだろう、と甘く考えていたのも事実です。
しかし、実際に就職活動をしてみて、現実の厳しさに改めて気がついたのでした。
退職して、1ヶ月も経つと、家族のためにも一日も早く次の職場を・・・というやる気は あきらめに変わっていったのです。
熱心だった会社探しもハローワークからの紹介先以外には行くこともなくなり、一日家出ぶらぶらすることも多くなってきました。
そんな日が1ヶ月ほど続きました。
会社を退職してから3ヶ月目くらいのことでした。
近所のスーパーでパートをしている妻の佳代子さんから言われたのです。
「あなた、早く次の仕事を探してください。そうやって、毎日家でぶらぶらされてては迷惑です。
近所の奥様たちに笑われるのは私なんですからね。」
それまで黙っていた妻が、自分からすすんで 働き口をさがそうとしない夫 和也さんにはじめて文句を言ったのです。
結婚21年。
ほとんど和也さんに仕事のことは言わなかった佳代子さんが、仕事のことを言い出したのです。
「わずかだけど貯えはあるし、退職金も入った。失業保険もあと9ヶ月はもらえる。1年や2年、勤務先が見つからなくても暮らしに困ることはないだろう。」
和也さんとしてはそう言えばよかったのです。
佳代子さんも安心しただろうし、自分自身も楽になれたはずです。
しかし、根がまじめなだけに、パートで働く佳代子さんに負い目を感じていて、そこまで開き直る余裕がなかったのです。
頑固で少々プライドが高かったせいもあるのでしょう。
外に出ても仕事は見つからず、家にいれば妻にはだらしない、責められる。
その上、高校生になった一人息子からもバカにしたような視線を浴びせられているようで・・・・・
追い詰められた和也さんは、いつしか飲めない 酒 を無理矢理飲んで、毎晩のように酔いつぶれるようになっていました。
すでにリストラで退職してから半年が経っていました。
そして、酒を飲み始めてから1ヶ月ほど経った頃。
いつものように酔っ払って夜遅く帰ってきた和也さんは妻佳代子さんと激しい口げんかになりました。
そして、勢い余って妻の顔を殴ってしまったのです。
その瞬間にそれまで夫の和也さんを励ましてなんとか立ち直ってもらおうと応援してきた妻佳代子さんの気持ちがぷっつり切れてしまったのでしょう。
妻は翌日、黙って荷物をまとめると実家に帰ってしまいました。
リビングのテーブルには妻が署名押印した一枚の 離婚届 が残されていました。
酔っていたとはいえ、すぐに謝ればこんなことにはならなかったでしょう。
しかしこの後も、息子や妻の親族のすすめにもかかわらず、さらに意地になって頑固になった和也さんは妻にあやまろうとはせずにいました。
また、迎えに行くこともしなかったのです。
結局、息子も父親への説得をあきらめて、母親の後を追って妻の実家に行ってしまいました。
せっかっく30年の住宅ローンを組んで買った4LDKのマイホームに一人で住む状態になってしまったのです。
その後、妻からは「離婚したい」、と何度も申し出がありました。
それでもプライドが高い和也さんが離婚の話し合いに応じないので、妻は家庭裁判所に離婚調停を求めました。
しかし、和也さんは家庭裁判所からの調停の呼び出しにも出ようとはしません。
そして、離婚届が置かれているテーブルの横で、もんもんとした気分で酒を飲んでいたのです。
協議離婚と調停離婚では、夫婦が合意すれば理由がなくても成立します。
でも、夫婦どちらかが離婚に応じないと離婚ができません。
何度も何度も家庭裁判所は調停にでてくるように勧告もしたのですが、出たくないからという理由で行きませんでした。
とうとう裁判所は正当の理由もなく調停に出席というしないということで、5万円の過料の制裁を下しました。
離婚調停は、夫婦の話し合いに、調停委員という第三者が話を聞く、というスタイルです。
裁判のように白黒の決着(「離婚する」「離婚しない」)を決める場ではないんですね。
片方が、出席すらしなければ、そのまま「調停不成立」(話し合いはできなかった)ことになってしまいます。
だから、乗り気ではなくてもとりあえず家庭裁判所に行って、言いたいことを言えばいいんです。
少なくとも和也さんは家庭裁判所に行って、調停の席で自分の意見をきちんと言うべきだったのです。
意地を張らずに、佳代子さんに頭を下げればもう一度やり直しがきいたでしょう。
しかし、調停に出ないからといって離婚が認められることはありません。
妻は、とうとう離婚裁判を提起しました。
ここでも和也さんは何もせずにいました。
家庭裁判所からは口頭弁論の通知が来ているにもかかわらず、自分は訴訟のために弁護士を探すことすらしません。
しかし、離婚裁判になった場合は、裁判に出ないと欠席裁判と行って、相手方の言い分だけが認められることになります。
一也さんは職探しもせず、アパートの部屋で酒浸りの毎日です。
結局、夫の一也さんはプライドと意地が邪魔をして、自ら弁護士を立てることもなく、離婚裁判に出席することもありませんでした。
妻の佳代子さんはここで離婚判決を得て、離婚することになったのです。
もし、和也さんの方も離婚裁判に出席していれば、勝手に家を出て行った妻の佳代子さんに対して、同居義務違反やこれを理由とする慰謝料も請求できたかもしれません。
変なブライドを持っていると離婚裁判にも負けてしまうのです。頑固とか意地を張っていては、離婚裁判には勝てないのです。
離婚して別れるにしろ、結婚生活を続けるにしろトラブルを解決する席では、無視せず率先して行動するように心がけた方がいいです。
働かない夫 に幻滅して 離婚したい んです!
夫が働かないことを離婚の原因にすることってあるんですか?
協議離婚では、離婚したい理由が夫が働かないから、というのでもアリですが、裁判離婚では、夫が働かない、というだけでは離婚理由にはなりませんよ。
今の時代は企業も年功序列制度が崩れて、誰もが予定通り働く、ということは思っているより難しいものです。
「酒ばっかり飲んで・・・・」といっても、働けない苦しさから酒に逃避することもありますしね。
それを「だらしない」という判断もありますが、生身の人間は理屈通りにいかないのも事実です。
働かないことが、裁判で離婚理由になるには、婚姻生活が破綻して「婚姻を継続しがたい重大な理由」に該当する必要があります。
今は働いていない夫の過去から将来を考えてみましょう。
同時に、将来の生活も見据えてみましょう。
一時的に失業や職を失うことは、今の時代ではよくあることです。
それが、数年単位で続き、極端なことを言えば、ヒモのような甘えた生活が、今後も続くのなら別問題でしょう。
腹立たしさ紛れに離婚をしても、このようなケースだと、おそらく財産分与や慰謝料もでないでしょう。
また、家族の収入が増えるわけでもありません。
働かない夫と離婚したい と考えているのなら、離婚とともに将来の収入をどうするかを並行して考える必要もあります。
お金の事をしっかり把握しないまま、感情と勢いで離婚してしまうと、あとあと大変になってしまいます。
人生の流れ全体を見て、今の働かない夫と、将来もパートナーとするのか、本当にダメ人間なのかどうかで判断しましょう。
働かない状態(にともなう態度)に幻滅感を抱いて、婚姻生活が破綻したというのであれば、これは別のこととして離婚原因(婚姻を継続しがたい重大な事由)になります。
働かない夫といっても事情があるでしょう。
平成のバブル崩壊や続いてリーマン・ショック、世界的な感染症で給与は激減していますしね。
どうしても、生活にかかるお金のことを働かない夫とダブってしまうんですよね。
男性だからといって稼げる時代ではなくなっています。
働かない、だけでは離婚理由にはなりません。
どのような理由で、どのような状況下で働かないのか、という点が大切です。
働く気があれば日雇いでもいいじゃないか、家族はその日の生活費に困っている、という場合もあるでしょうが、人にはそれぞれ立場があります。
というような場合も少なくないです。
むしろ、今日ではそうしたケースも多いですよね。
また、収入を必要とする家族の状況も判断のうちに入れなければなりません。
それらを総合して、ちゃんと働くことができるのに、怠けて働かず、婚姻生活を維持できない、というのであれば離婚原因(悪意の遺棄)になる可能性もあります。
中高年で夫の再就職をきっかけに夫婦仲が円満でなくなることもあります。
会社員にとって40代後半という年齢は、多くの企業で“戦力外”扱いが始まる年齢です。
50代前後以降で再就職、という段になると、「助ける」という思いよりも熟年離婚を考え出す夫婦が多くなる年代でもあるんですね。
働かない夫が家にいるけど、
いつもこの状態なら「離婚したい」と思うようになってしまいますよね。
働かない夫に幻滅し、離婚したいと思いつつ、離婚を言い出した後は、夫婦二人が冷静に話し合うことが難しくなります。
特に、離婚後に財産をどうするかについては話し合えないとこじれることも多いです。
離婚について話し合う前に家の財産チェックをしておいた方がいいです。
気をつけておきたいのは、マイホームがあって離婚をする場合には、売却したらどれくらいの価格になるかを出しておかないと、資産価値からの処分を検討することもできません。
ご自宅は財産分与の算出で、売却するにせよしないにせよ、名義が夫婦のどちらかでも、計算上に組み込まれます。
中高年でリストラされ、夫のプライドで意地を張ったのが離婚へ至った離婚体験談を紹介しました。
離婚の原因は、リストラで仕事がなくなった、という一面だけではないものです。
など様々な要素が加わって離婚に至ってしまうものなんですね。
リストラというだけで離婚にはならないかもしれません。
でも
で婚姻生活が破綻していれば離婚の選択もありかもしれません。
「離婚」を言い出す前にする『離婚』を考えたときすべき準備とは