親の借金を子どもが背負うことになる
離婚後は
夫婦は関係ない他人
子供は法律上ずっと親子
離婚したら夫婦は他人ですよね。
それはもともとも他人だからです。
結婚していたら、夫婦同士はどちらかが亡くなったら半分ずつ相続権はありますけど、
離婚したらお互いに相続するものも全くなしです。
でも、子供には父母それぞれの相続権があって、
親が離婚しても、子どもの相続分は変わりません。
相続は、プラス財産だけでなくマイナス財産も相続の対象になるので、
親に借金があったら子供が全部背負うことになってしまうんです。
離婚した後も、子供が借金にビクビクするなんて、かわいそうですよね。
ここでは、離婚後の相続関係について、詳しく紹介します。
親同士はさっぱり関係なくなるけど子供は相続関係が続く
離婚して親同士はもともと他人同士なのできれいさっぱりに他人の関係になるのは、わかりますよね。
結婚前は、もともと知らない人同士でしたからね。
だから、相続に関してもきれいさっぱりなくなってしまうんですね。
でも、子供は、生まれたときから一緒です。
子供の法律関係では「相続」はずっと残ります。
マイナス財産=すべての借金もです。
相続はマイナス財産も引き継ぐ
相続って、不動産とかのプラスの財産を引き継ぐだけじゃなくて、別れた親の方の 借金 とかマイナス財産も相続することになるんですか?
そうです!
相続財産には、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金やローンといったマイナスの財産も含まれます。
子どもにとってみれば、自分で借金なんかしていないのに、別れた親が死んで突然降ってきた借金のようなものです。
その借金は親も返せなかったことも多いので、延滞利息もついてきます。
親が離婚する際に、借金をきっちり片付けていないがために、子どもの将来にも影響してしまいます。
子どもからすれば、親の理由で離婚したがために、借金を押し付けられているようなものですよね。
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離婚しても子供の相続権は変わらず
夫婦が離婚したら 子供が親を相続すること もなくなるんですか?
夫婦は離婚によってお互いの相続権を失います。
しかし、子供の場合は父母の離婚後、どちらの戸籍に入ったとしても親子の血縁関係は継続しているので、離婚しても父母それぞれからの相続の権利があります。
子供が親を相続する権利は、親が離婚した後に他の人と 再婚しても 変わらないものですか?
子供を引き取った親が再婚して、その再婚した相手と子供が養子縁組しても、実の親の相続に関しては相続権がそのまま続くことは変わりありません。
別れた相手の方が再婚して、子供が生まれても変わらないです。
別れて暮らす親が再婚して、再婚相手との間に子供が生まれても、相続権にはいっさいの変更はありません。
別れて暮らしていた親でも、借金を残して死んでしまった場合、子供はその借金も相続してさらに返済義務を負うことになります。
「単純承認」だと借金はすべて相続することになる
たとえば、親が離婚して別れて暮らしていたとします。
音信がなくなって、子供が知らない間に片方の親が死んでしまっても、子供が借金を負うのは酷な話ですよね。
これが一般的にいわれている『相続』で、民法上では「単純承認」と呼ばれています。
単純承認とは、亡くなった人の全てを何も条件をつけないで相続をする、ということなんですね。
相続がはじまった事を知ってから3ヶ月の間に、何も手続きをしなければ、単純承認したとみなされてしまうんですね。
単純承認をすると、相続人は、亡くなった親の一切の権利義務を「無限に」承継(引き継ぐ)ので、
プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も、すべてそのまま受け継ぐことになります。
しばらくぶりに、別れて暮らす親の親族から連絡がきたと思ったら、「亡くなっていた」ことを聞いたとします。
それから、3か月経ってしまったら、もしその亡くなった親に借金があったら、
自動的にその借金も子供が背負うことになる、ということなんですね。
マイナス財産を引きつがない「限定承認」「相続放棄」の方法
マイナスの財産を引き継ぎたくなければ、相続で「限定承認」や「相続放棄」の制度を利用することになるんです。
限定承認とは
限定承認 という相続方法はどういったものですか?
限定承認は、債務などのマイナス財産を引き継いだけどプラス財産の限度内で弁済するという制度です。
限定承認は、プラスの財産がマイナスの財産より多いか少ないか、すぐには判断できない場合に適しています。
ただ、限定承認をするには、相続人の全員が共同で家庭裁判所に申請しなくてはいけません(民法923条)。
相続をする子供が行方不明だったりすると、時間がかかるときもあります。
相続放棄とは
相続を 放棄 するってこともできるんですよね。
もちろん、相続放棄もできます。
相続放棄は、相続に関する権利も義務も放棄することで、最初から法的に相続人でなかったとみなされる制度です。
遺産相続を辞退したい場合は、相続放棄を選びます。
期間の制限とかあるんですか?
限定承認も相続放棄も、自分に相続があることを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申立をしなければなりません。
そのときは、「知ったときから」3ヶ月なので、10年後に知ったときから3ヶ月、ということになります。
ただ、裁判官の前での審問などがあって、手続きはそれなりに面倒だったりもします。
限定承認の場合は、共同相続人全員が共同して申し立てする必要がありましたが、相続放棄の方は一人でも申立ができます。
もしも、子ども一人で相続放棄をするなら、成人の子どもであれば自らの意思でもできます。
ただ、未成年の子どもの場合は、親が代理してすることになりますね。
マイナスだけでなくプラスの財産も相続する
相続ではもちろん、借金だけでなく プラス財産 も相続します。
現実的に離婚した親との相続関係で問題になるのは、親が亡くなって財産を持っていたときです。
親が自宅などの不動産を持っていたら、それも別れて暮らす子供たちにも相続権はあるからです。
その場合に、別れて暮らしている子供が、住んでいない家の持分をもつことになってしまうのは現実的ではありません。
だから、家などを売ったとしてどれくらいの価格になるかを出して、
そのお金を相続分で分配するという形がとられることがおおいです。
子供と親が離れ離れになっていたとしても、いまではネット上でカンタンに不動産の価値を診断してくれます。
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離婚した後でも別れた親の借金を子供は相続することになる(まとめ)
夫婦は、離婚した後は、他人同士。
子供は、離婚した後も、親子(法律上も)
この事実はわかるけど、離婚する親としては、やっぱり子供のことが心配です。
子供からしてみれば、突然借金が降ってきたら、親を恨んでしまうかもしれません。
マイナス財産を相続しない方法にある「限定承認」「相続放棄」を頭の片隅に入れておくと、役に立つことがあります。
でも未来はどうなるかわからないし、自分では受け入れなければならないものです。
相続も、法律は法律、事実は事実で受け入れることは、離婚することと同じかもしれませんね。