だんだん面倒になる離婚手続き
離婚の手続き は結婚よりめんどうなイメージがありますよね。
でも、離婚届さえすんなり出してしまえば全くノープロブレムです。
離婚したいと思ってから、話し合ってもこじれ出すと、だんだんと手続きは面倒になります。
離婚手続き方法としての手順は、大きく3つあります。協議離婚、調停離婚、訴訟離婚です。
日本ではいきなり訴訟をすることができないので、離婚したいと思ったら、まずは合意での離婚の協議離婚からの方法をすることになります。
協議離婚、調停離婚、訴訟離婚と進むたびに、調停委員やら裁判官やら登場人物も現れて、一筋縄では離婚ができなくなっちゃうんです。
ここでは、離婚の手順を順に追っていって、どれだけ面倒くさくなってしまうかを感じてみてください。
離婚の手続きには大きく3つの方法がある
離婚するときって、どんな方法があるんですか?
「協議離婚」って夫婦で話し合って、離婚届を出すことですよね。
そのとおりです。
合意での離婚は裁判所の関与することなく夫婦二人の合意だけで可能です。
夫婦間で合意が成立しない場合に、調停や訴訟となります。
さらに細かく分けると離婚する方法は6つ
法律上、離婚するには6つの方法が決められています。
です。これで、法的に離婚が成立します。
日本では離婚する際に、離婚手続き方法は流れに沿っていかなければならないんです。
つまり、「離婚だ!お前とは話さないぞ!裁判で決着だ!」と、話し合いもしないで、いきなり離婚裁判するわけにはいかないんですね。
離婚したいと思ったら、まずは夫婦二人で話し合いをしてから、調停→離婚裁判と進む手順を踏むのです。
その手順を踏むたびに、調停なら調停委員、離婚裁判なら裁判官や調査官、弁護士など登場人物増えて、証拠集めやらで離婚したくてもこじれるほどだんだんと手続きも面倒くさくなります。
特に離婚裁判まで進むと、経験上、普段の生活がネガティブ感情に包まれてどうしても前向きになれなくなります。
できるだけ裁判所が関わりを持たない協議離婚の時点で、離婚は決着したいでものなんですね。
離婚するときにもめるて問題になるのは、子供・財産のことがほとんどです。
離婚したいと思いつつ、離婚を言い出した後は、夫婦二人が冷静に話し合うことが難しくなります。
「大事な話がある」と前置きして、「離婚してください」と冷静に話したとしても、離婚する予定の夫婦が一緒に暮らし続けることは現実的には難しいものです。
離婚後の財産のことについては、こじれて「離婚すること」も話し合えないとも多いです。
「離婚」を口にすれば、夫婦関係が悪化するのは間違いありません。
もし、すでに離婚しか選択がないほど最悪の状況だったら、地獄絵図と化します。
夫婦二人が話をするたびに、
「お前に渡す金はない」
「絶対に離婚なんかしない」
「結婚する相手を間違えたわ」
などお互いが攻撃し合うことになってしまうんですね。
だから、離婚について話し合う前に家の財産チェックをしておいた方がいいです。
ある程度、家にある財産を把握していると、心の余裕を持つことができます。
もし自宅などの不動産を所有しているのなら、最終的に離婚したとなるとお金の問題は、財産分与で清算、という方法をとります。
その際には、現在の自宅の価値と住宅ローンの残高はあらかじめ計算しておくと、有利に離婚条件を展開できる可能性があります。
財産を分ける時のために、あらかじめ準備する事で、優位な立場になってから、離婚の話をする、ということです。
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協議離婚
協議離婚は、一番簡単な方法で、離婚届の用紙に、夫婦二人が署名・押印し、さらに成人二人が承認者として署名押印して提出された離婚届けを役所が受理すれば、成立します。
離婚するカップルのおよそ90パーセントがこの協議離婚です。
法律上、決めなければいけないことは、未成年の子供がいる場合の「親権者」だけです。
子供がいなかったり、子供が成人していたら、ほんとに離婚届を提出するだけ、というシンプルな手続きなんですね。
たしかに、離婚届を書くまではすったもんだがあるかもしれませんが、この協議離婚の段階で離婚を決着することが、後々の精神的ダメージが少なくて済む方法です。
三行半を突きつけられたら離婚率が上がる!?
江戸時代の「三行半」は今の協議離婚のはしりのような制度でした。
江戸時代は、妻が「離婚したい」と家を飛び出して、三行半と突きつける離婚が多かったんですね。
当然、離婚率も高かった(1883年で人口1000人あたり3.39)のですが、明治時代に西欧の真似をしてできた今の協議離婚制度ができてから変わってきました。
明治時代にあった男尊女卑が法的に強制されたのがきっかけです。
協議離婚ができた当初は、男尊女卑が強制されたので、妻が「離婚したい」と言ってきたら、夫が同意しなければ離婚の届け出はできなかったんですね。
だんだんと、妻が家を飛び出して離婚する、ということができなくなって、離婚率が一気に激減した(1910年で1.18)んです。
協議離婚の制度は、明治時代にできた今の民法からです。
離婚率が上がってきている、といわれています(2002年には過去最高の2.3)が、江戸時代のように妻が離婚の主導権を握る制度になったら、もっと離婚率が上がるかもしれませんね。
調停離婚
調停離婚は、なんらかの事情で夫婦二人で話し合いによる離婚が成立しなかった場合に、一方が申立人となって行われる、家庭裁判所での調停で成立した離婚のことを言います。
調停離婚で離婚が成立するということは、家庭裁判所で行われる調停での話し合いを経て、離婚することです。
そして、離婚することそのものや条件が書かれた調停調書が作成され、その謄本と離婚届を本籍地の役所に提出することによって、戸籍に反映されます。
調停では、家庭裁判所で夫婦二人の話をそれぞれに聞く、「調停委員」が二人でてきます。
この調停で弁護士をつける人もいますが、ほとんどの人は弁護士は相談はすることもあるけど、つけていないです。
→離婚調停を有利にする!弁護士への依頼するときのポイントとは
調停での話し合いが決裂して、不調ということになると、まれに裁判所が審判を下すことがあります。
審判離婚
家庭裁判所の調停で合意に達しなくても、裁判所の判断で調停にかかって、「離婚」の審判が下されて審判離婚が成立することがあります。
夫婦にとって離婚が相当だと判断された場合ですけど、どちらかが不服を申し立てると審判は無効になります。
審判では家庭裁判所がその職権で「調停に代わる審判」を下して、強制的に離婚させます。
ただ、裁判所が審判を下す事案はほとんどありません。通常は、不調になって離婚裁判に進みます。
協議離婚や調停離婚の場合には、話し合いが中心なので、お互いの主張が対立すれば際限のない論争ともなりがちです。
こうなってくるとつい嫌気がさして相手をののしったり、時には手を挙げたくもなりますがそれは禁物ですよ。
冷静な対応こそが重要です。
判決(裁判)離婚
調停が不調に終わったら、離婚したい方は家庭裁判所に離婚訴訟を起こします。
協議離婚、調停離婚では離婚をすることに法律で定める原因や理由はいりませんでしたが、裁判離婚になった場合には被告となる配偶者に、法律上の一定の原因があることの理由が必要になります。
離婚裁判では、民法に定められた5つの離婚理由のどれかに当てはまらないと離婚が認められません。
この裁判離婚は離婚のおよそ1パーセントくらいです。
裁判が始まると、それぞれの言い分を文書にまとめて提出し、証拠書類や双方の本人尋問、証拠調べなどがなされます。
「裁判」というとよくテレビで弁護士が、言い合いしているシーンがありますが、実際の法廷はは文書のやり取りなんですね。
→離婚裁判の流れ | 弁護士がいれば出廷もなく文書だけで対話はない
その過程で、判決ではなく、話し合いによる解決を進められて和解勧告が裁判所からなされることもあります。
離婚も裁判になると、弁護士をつけないと訴訟資料を作成するだけでも膨大な時間がかかってしまいますね。
また、裁判なので、もちろん裁判官も登場しますし、調停のときから引き続いて家庭裁判所の調査官も登場します。
ここまで離婚の話もこじれると、登場人物がたくさん出てきて、今すぐにでも離婚したいのに離婚できないもどかしさを感じることもあります。
離婚裁判を弁護士をつけないですることって、できるんですか?
理論的には可能ですよ。
でも、相手に弁護士がついていて、自分に弁護士がいない場合は、高い確率で不利になりますね。
特に、男の人で、仕事をしている人が自分で裁判をすると、訴訟のたびに裁判所に行くことになるので、現実的には不可能です。
和解離婚
訴訟(離婚裁判)の途中で、離婚の合意に至ったら、和解が成立した時点で和解離婚が成立します。
裁判官もできるだけ、判決で離婚をさせたくないのでまずは、「和解」をすすめてきます。
詳しくは→離婚裁判での和解
認諾離婚
訴訟(離婚裁判)の途中でも、被告(離婚訴訟を申し立てられた方)が、原告(離婚訴訟を申し立てた方)の離婚請求を受け入れた場合には、「請求の認諾をした」として認諾離婚が成立します。
和解も認諾もなく判決が下って、双方から控訴がされないで判決が確定すると、離婚が成立して、役所に判決正本と確定証明書を提出することで戸籍に反映されます。
離婚の手順(まとめとアドバイス)
滅多にないケースですが、敗訴した側が控訴・上告して、離婚事件でも最高裁判所までいってしまうこともあります。
そこまでするまでもなく、どこかで折り合いをつけているのがほとんどです。
離婚訴訟をやっている期間の方が、結婚生活より長かったという無意味とも思える訴訟もあったりもします。
もう結婚生活はダメそう、と陥ってしまうピンチの場面のほとんどが、生死の瀬戸際などではなく、このまま夫婦を我慢して続けるか、離婚するかを決める機会でしかないんですね。
離婚のことで悩んでいたり知りたいことがあれば、まずは家庭裁判所に行くといいです。
もちろん、「離婚できるか、できないか」の判断はしてくれませんが、主に手続き的なことであれば、わかりやすく教えてもらえます。