離婚届が無効。犯罪になるかも
離婚届を勝手に出していいことはない
代筆っていうと、代わりに書いてあげることですよね。
離婚でお互いに離婚する意思があれば、離婚届を代筆 してもいいんじゃないの?って思えます。
また、離婚したい、とは漠然と思っていて、離婚届をあらかじめ用意しておく、なんてこともありますよね。
実際に相手の方だけ空欄にして、自分の署名などかける部分は書いて、タンスや机の奥にしまっておくとか・・・・
でも、離婚は離婚届に向けられた離婚の意思が大事なので、代筆はできないんです。
勝手に空欄部分を埋めて、役所に提出してしまうと、離婚届の形式が整っていれば、受理されてしまいます。
まだ相手の方は本気で離婚したいと思っていなかったりすると、さぁ大変
離婚届を代筆したり、勝手に提出すると、離婚届は無効になり、犯罪に該当したり、損害賠償を受けることもあり得ます。
いずれにしても、離婚届を勝手に出したら代償は大きいです。
離婚届を勝手に代筆したら離婚は無効です
離婚届を勝手に代筆して提出する とどうなるんですか?
夫婦がお互いに離婚の意思の合意ができていない時は、その離婚は無効となります。
離婚の話し合いがついていないうちに、内緒で離婚届に勝手に署名して、友人に代筆を協力してもらって提出される方がまれにいます。
特に、離婚の前に別居などをしていると、相手の離婚の合意はなかなかとれにくいですしね。
そこそこの大人であれば、いわゆる偽造の離婚届を書くリスクが高いことは知っているわけですよね。
だから、友人と言っても、ほとんどの場合は、勝手に離婚届を出した方の次の配偶者?だったりするんです。
ニュースや事件になったりもしますよね。
でも、こういった場合は、離婚の効力が発生していないので、離婚は無効、つまり、離婚が成立していないということになってしまうんです。
離婚の無効ってどういうこと?
離婚の無効というのは、離婚の効力発生に必要な要件を欠いているために、離婚効果が発生しないことを指します。つまり、離婚していないということです。
離婚効果が発生しない、っていうのはどういうことですか?
具体的には離婚届の記述不備などがあげられます。
意図的に夫婦のどちらか一方が相手の承諾を得ずに離婚届を提出してしまっていた場合には、離婚意思のなかった側は刑事告訴や調停の申立などをすることになります。
虚偽の離婚届を作成し、役所がそれを受理すると、刑法157条の「公正証書原本等不実記載罪」に問われてしまいます。
最高で5年以下の懲役又は50万円以下の罰金を受けることになります。
刑事告訴されると、本人も虚偽の離婚届を書いた協力者も懲役や罰金を受けることになりかねません。
また、戸籍に傷がついたことを理由に慰謝料請求の対象ともなります。
そこまでして、離婚届を勝手に出す人なんかいるの?
っておもいますよね。
でも、もしかしたら多くの人にとっても、「勝手に出した」「いや、勝手じゃない。納得の上だ」というお互いの誤解が、離婚届の無効につながるケースもあるんです。
妻が勝手に離婚届を出した・・・
頭の中では、ほとんどの人が『離婚届を勝手に出してはダメ』って知っていると思いますけど・・・
人生の一部分の”離婚”を、お互いの意思が『離婚したい』と共通していなければ、離婚届は出してはいけないって、たいていの大人であれば、認識していますよね。
でも、よくある勝手に離婚届を出してしまったケースとは、離婚ならではのすれ違いの場合もあるんです。
夫 「離婚してもいい、と確かに言った。息子の純一の親権者はおまえでいい、とも確かに言った。」
妻 「じゃあいいじゃないの。同じことでしょう。」
夫 「そうはいかん。純一とは時々会いたいとか、小学校はどうするとか、養育費はいくらにするとか、そういった話がまだすんでいないじゃないか。
それを勝手に離婚届を作って、俺の印鑑を勝手に押して役所に出してしまうとはなんだ!」
妻 「あの印鑑は、あなたも承知で私に預けていて、勝手に押しても文句は言わなかったでしょう。」
こういうことは案外多くて、離婚の合意ができていたときは、たいていの場合、泣き寝入りで離婚になるようです。
しかし、法的には、勝手に離婚届を作成して受理されたとしても無効になります。
妻ではなく、夫が勝手に離婚届を出したケースですが、
2018年9月に亡くなった樹木希林さん
内田裕也さんと再婚したものの、別居生活を送っていました。
別居中に、1981年に内田裕也さんが一方的に離婚届を提出し担です。
希林さんが「無効」と主張して、東京地裁に提訴。
「離婚無効」の判決が下ったというエピソードもあります。
離婚は、当事者双方が離婚の意思が合致してから、届出をしなければならないんですね。
だから、離婚届には当事者双方の署名押印が必要なのです。
話し合いができていないから無効なのではなく、本人が印を押した離婚届ではない偽造の届けだから無効なんですね。
「離婚するために離婚届を書く」までに、子供のこと、夫婦のこと、親戚関係など今まで過ごしてきた時間を振り返ることになります。
離婚届って人生の中であまり書く機会がないですよね。
だからこそ、今までの夫婦関係をじっくり振り返るいいチャンスです。
離婚の決断をする、という利点もあります。
役所は離婚届を形式的にしかチェックしない
離婚届を受け付ける 役所 では、離婚届が代筆されていることは、わからないものですか?
役所の戸籍課の窓口では、提出された離婚届が虚偽かどうかというチェックはしません。
離婚届の必要事項が形式的に記入されていれば受理審査はパスすることになります。
にせものの離婚届が受理されたらどうなっちゃうんですか?
役所は形式的に書類が整っているか、でしか離婚届を判断しません。
虚偽の離婚届の内容が、相手の方が『それは違うでしょ』となった場合は、家庭裁判所の調停を申し立てる必要があります。
実質的な内容にまでは踏み込まないんですね。
まだ、離婚前で相手が離婚届を勝手に出しそうだったら、役所に『離婚届を持ってきても受け付けないでくださいね』という「不受理申出手続き」をしておくことです。
この「離婚届不受理申出」をしておけば、役所も形式的に離婚届を受け付けなくなります。
虚偽の離婚届が役所に受理されてしまった場合、または離婚の意思がないのに離婚届を受理されてしまった場合は、戸籍上の元の夫婦に戻るためには、離婚無効の確認を求める調停を家庭裁判所に申し立てる必要があるんですね。
「離婚は無効」の調停しても長い期間がかかる
まず「その離婚届は偽物」という調停を提起するのですが、離婚無効については、双方の合意のほかに「合意に相当する審判」が必要になります。
裁判所で協議離婚無効確認調停をするんですね。
→協議離婚無効確認調停(裁判所のホームページ)
調停が不成立であれば、離婚無効の訴訟にすすむことになります。
調停で虚偽の離婚届を提出した側が、その事実を認めて離婚無効に合意して、家庭裁判所が調査をした結果、離婚無効が正当と確認できると、合意にしたがった審判がなされます。
離婚無効の確認を求める調停で、相手が夫婦2人の合意によって提出した離婚届であると主張した場合は、調停は不成立になります。
「偽物の離婚届だしたけど、あれ、やっぱり本当のことにしますわ」
と、調停で夫婦二人が決めたら、離婚届を出したことにしましょうね、ということです。
ここで、審判に対して2週間以内に当事者が異議を唱えると、その審判も無効となります。
こうした場合には、相手の住所地の家庭裁判所に協議離婚無効確認の調停申立書を提出して訴訟を申し立てて裁判で決着をつけることになります。
離婚したくなければ婚姻無効の訴訟を起こすことができます
この場合、文書偽造にもなってしまいます。
離婚無効の訴えを提起できます。
この離婚無効の訴えと同時に、離婚訴訟を別に提起して、親権者や慰謝料その他の事項についての判決を求めることもできます。
新しい離婚は、前の離婚無効が前提となります。
とはいっても、勝手に出された離婚届でも、「まぁいいかぁ」、と事実上その不備を黙認していていることもあります。
そうなると、事後ではあるけど、子供との面接交渉や養育費などだけを協議によって定めたり、家庭裁判所の審判や調停によって定めることができたりもします。
ただ、一方的に財産分与や慰謝料の要求があったりするかもしれないので、そのことは黙認する前に確認した方がいいです。
離婚届を代筆して、虚偽の離婚届が出されると、逆に、ものすごく時間がかかりそうですね。
そうなんです。
離婚の無効が決まってもさらに手続きが続くので、相当な時間と費用がかかります。
離婚の無効が確認されると、戸籍法にもとづき1ヶ月以内に戸籍に記載された離婚の抹消を求めるように、役所に申請しないとなりません。
この申請は、夫婦のどちらからでもできます。
いずれにしてもかなり手間と時間がかかります。
離婚したい一心で離婚届を勝手に出したくなる気持ちもわからないでもないですが、代筆して虚偽の離婚届を出してもメリットはありません。
離婚したいと思って離婚届を代筆したり、感情と勢いで離婚してしまうと、あとあと大変になってしまいます。
離婚のことで悩んでいたり知りたいことがあれば、まずは家庭裁判所に行くといいです。
もちろん、「離婚できるか、できないか」の判断はしてくれませんが、主に手続き的なことであれば、わかりやすく教えてもらえます。
離婚の準備は離婚届を書くのではなくお金のことが先
離婚届をあらかじめ書いておいて、さらにこじれるような夫婦間の争いが勃発しそうなら、目に見えるような離婚の準備は避けておいたほうがいいかもしれませんね。
離婚のときに問題になるのは、子どものことと財産のことがほとんどです。
離婚したいと思いつつ、離婚を言い出した後は、夫婦二人が冷静に話し合うことが難しくなります。
こじれて「離婚」も話し合えないとも多いです。
だから、離婚について話し合う前に家の財産チェックをしておいた方がいいです。
大まかでいいのでまずは、この家にどれくらいの夫婦での財産があるのかを把握することです。
電化製品など細かいものは後回しです。
その際には、現在の自宅の価値と住宅ローンの残高はあらかじめ計算しておくと、有利に離婚条件を展開できる可能性があります。
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離婚届の偽造・意思に反する提出のまとめとアドバイス
離婚したいという動機はさまざまでも、離婚となると結論は一つです。
とはいっても、離婚届を書こうとしている人にとってはどうにかして離婚したいというのが本音でしょう。
「できれば、調停までしなくて離婚をしたい」そう思っているなら→誰でも実践できる離婚を有利に進める方法
離婚届を勝手に出されたり、代筆されたら、不当な扱いを受けた、と思ってしまうものです。
そこで、不当な仕打ちや不公平を理由に、ただうらんでも感情にまかせて結果的にフラストレーションがたまるだけです。
攻撃のエネルギーのすべてを生産的な行動に傾けて、未来に期待が持てる行動をとりたいですね。