DVで離婚した慰謝料は高め、対策も必要
離婚裁判では、DVが原因の慰謝料額は、300〜500万と、離婚での通常の慰謝料より高めです。
DVで離婚したい、と思ったら、裁判にならなくても、離婚裁判で決着をつけるくらいの対策も必要です。
DVが起きるのは、家庭内という限られた空間で行われることが多いですよね。
だんだんと習慣になっていくので、DVをするほうも受けるほうも麻痺しがちです。
そのDV習慣に気がついて、暴言暴力の対象になってしまっているDV環境を離れたいと思う気持ちは健常な証拠です。
よく家庭の事情を知らない第三者に相談して「耐えろ」とか「試練」だとか、暴言暴力を肯定する方が異常です。
DVの相手とは、話し合いで離婚が成立するのは難しいので、離婚裁判まですすむ事を前提に前に進みましょう。
もちろんDVは命の危険もあるので、子供に及んだり、逃げるべき時は逃げるのも対策のうちです。
ここでは、DVを受けていて離婚したいと考えている人に、慰謝料を取る方法と対策を詳しく紹介します。
離婚裁判をするとDVの慰謝料は高め
30歳の専業主婦です。
3年前に結婚してからすぐに、夫が暴力をふるうようになってきました。
いまは、もう 離婚したい のですが、別れる話しをすればまた暴力をふるわれそうです。
どうしたらいいのでしょうか?
いざ離婚となったら 慰謝料 を請求したいのですが、請求に必要なものは何でしょうか?
DVの程度が激しいときに、同居したままでは状況は悪化するだけです。
判断は難しいときもありますよね。
かといって、離婚話をすれば、逆上して何をされるかわかりません。
まずは暴力から逃れるために別居して安全な環境を整えるのが先決です。
自分がすぐに出て行くことが難しければ、裁判所に申し立てて2ヶ月間相手が自宅から出て行くことを命ずる保護命令を取りましょう。
相手が不在の間に引越の準備ができます。
慰謝料の額は暴行の程度、期間にもよりますが、一般には300万〜500万円くらいと、通常の離婚原因の場合と比べると高めです。
ただ、DVを離婚原因として離婚裁判になったとしても、「話し合いをしていたが激論になったあげく、一回たたかれた」という理由で家庭裁判所が離婚を許すか、といえば、そうもいきません。
- 頻繁にDVの事態が起きるのか
- DVがいつから続いているのか
という程度の問題もあります。
暴力か相手の粗暴な性質によるもので、繰り返されこれ以上婚姻という共同生活は無理だ
という状況になれば「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして、離婚ができることが多いです。
記録をとって対策をしておく
DVで離婚したいと思ったら、離婚裁判で決着することを見越して、対策をすることが重要です。
「裁判なんて…」って思いますよね。
結果的に、話し合いで離婚できそうでも、離婚裁判までの対策をしておくことです。
暴力は離婚理由になります。
まずもって暴力は許されません。
民法770条第1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な理由」に該当します。
ただ、暴力は散発的な事が多いので日が経つと正確なことがわからなくなります。
外からはわからないことも多いです。
だから、結果的に、協議離婚できそうでも、離婚裁判で使える証拠を集める対策をしておくんですね。
DVではどんなものが証拠になるんですか?
家庭内のことなので、証人ではなく、自分のメモや、医者の診断書などですね。
暴力でけがをしたら写真を撮っておき、程度にかかわらず医師の診断を受け、診断書を書いてもらいましょう。
日記や録音で記録をとっておくことも大事ですよ。
相談に行くときのために、暴力の詳細をいちいちメモを取り隠しておくことです。
診断書がある場合も、前後のいきさつが大事なので、メモは別に書いて書いて残す必要があります。
ただ、診断書は有力な証拠ですが、「夫の暴力により」ケガをしたことが記載されていないと、裁判所が「夫からの暴力」を認定してくれないかもしれません。
そのほか、毎日つけている日記や警察などへ相談したこと、ケガ、アザの写真なども証拠になります。
離婚の時に、 慰謝料の請求 を考えているなら、大まかでいいのでまずは、この家にどれくらいの夫婦での財産があるのかも把握しておきましょう。
DVがすごくて離婚したいと思いつつも、離婚を言い出した後は、夫婦二人が冷静に話し合うことが難しくなります。
離婚後の財産のことについてこじれて「離婚」も話し合えないとも多いです。
離婚したいと思ったら、ある程度、家にある財産を把握していると、心の余裕を持つことができます。
電化製品など細かいものは後回しです。
その際には、現在の自宅の価値と住宅ローンの残高はあらかじめ計算しておくと、有利に離婚条件を展開できる可能性があります。
ローンの方が多いのか、自宅の価値が大きいのかによって、今後の財産分与や慰謝料の方向は大きく変わるからです。
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DVは耐える必要なし
暴力夫は洋の東西を問わず、どこにでもいるようです。
英語でも、ワイフ・ピーター(妻たたき亭主)という言葉があります。
暴力はそれだけでも、もう 夫婦としてはダメ です。
暴力をふるう人は、暴力が癖になっています。
DVを受けた方も、「自分が悪いのだから・・・・」と反省してしまう人もいますが、絶対に違います。
絶対、暴力=愛情表現ではありません!
「叩かなければわからない、こちらを怒らせる方が悪い」
まだまだこのような化石のような考え方の人間もいることは確かです。
DVは虐待 です。
暴力はガマンすればいつか治る、と思っている人がいるのなら、絶対に何ともなりません。
暴力が愛情だと思っているようなら、さらに救いようがありません。
『殴られて当然の自分』になって、相手の言う通りに自分の価値を落として、精神的なダメージを軽減しようと自己防衛しているだけです。
殴られて当然の自分に成り下がってしまえば、どんな暴言に耐えられるようになるんですよね。
夫(妻)が妻(夫)に暴力をふるうだけでなく、それを子供たちがDVを目の当たりにするのも精神的な虐待です。
「みっともないから救急車はよぶな」
は?『命と世間体はどっちが大事なの?』
ってことです。
自分のことなんてどうでもいい存在にして、家族という世間体と、自分を偽りながら生活していくしかなくなってしまいます。
DVは耐える必要ないんです。
逃げる方法はいくらでもあるんです。
内閣府の調査では、3人に1人の妻が何らかの身体的、精神的暴力を受けていることがわかっています。
最近のニュースでもよく聞きますが、妻だけでなく、6人に1人の夫が妻から何らかの暴力を受けていることも明らかになっています。
数十年前くらいは夫婦間での暴力行為は「夫婦げんか」「家庭内でのこと」として軽視されてきました。
今は、個人の尊厳尊重が重視されて、配偶者暴力(=DV)防止法が施行されました。
ただ、施行されてから10年以上たっても、DV被害は減っていないのが現状です。
暴力は一度でおさまらず、必ず繰り返されるようになります。そしてさらにエスカレートしていきます。
そんなときには、離婚したいと思う気持ちさえ失せてしまうんです。
そして、
- 恐怖心やあきらめ
- 無力感
- 今の生活を失いたくない
- 世間体が悪い
などの理由からDVを隠す傾向もあります。
命の危険を感じるような暴力の被害者は圧倒的に女性が多いんです。
今、DV被害を受けていたらすぐ助けを求める
DVの被害を受けている場合は、まずは自分の身を守ることが優先です。
親しい人にも言えないときに、命の危険を感じるようになってはじめて、警察や支援センターに相談にいくケースが多いです。
特に大きな暴力になってしまってからでは遅いので、一人で抱え込んでいるのは危険です。
ためらわずに、専門機関に相談をすべきです。
DV防止法の制度と改正によって「暴力はいかなる場合でも許されない」という考え方が広がっています。
特に公共的な機関、相談機関として配偶者暴力相談支援センターや警察などは被害者を味方する対応にあたっています。
DVから逃れた女性が公衆トイレに隠れて行政に助けを求める
DVって家庭内のことなので、逃げ場所が家庭内にないんですよね。
DVって聞くと、夫が妻に暴力をふるっている。
そんなイメージをしますよね。
でも外のお店には隠れることはできないし。
だから、公衆トイレに隠れる人が多いそうです。
その公衆トイレに神奈川県では救済の電話番号を張って助けているそうですよ。
殴る蹴るなど体に傷が残るDVはわかりやすいですよね。
でも、夫婦関係では、こういった身体的に害を与えるDVだけじゃなくて、合意なしで一方的に性的な交渉を強いるっていうのもDVに当たっちゃうんですね。
ほかにも、収入がちゃんとあるんだけど生活費として渡さないことも「悪意の遺棄」といって、立派な法律上の離婚原因になるんです。
日本って、家庭内のことには警察は突っ込まないっていう考え方が根強かったって聞いたことあります。
どうみても法令に違反するだろうっていう場合じゃないと、公権力が介入しなかったので、特に家庭内でのDV問題は、表になかなか出てこなかったのが実情だったんです。
典型的なのは、夫のDVに耐えられなくなって家を出た妻です。
こういった女性が、お金がなくなってしまったけど、どうしても家に戻ることができない。
喫茶店なんかいれば、見つかっちゃうし。
ネットカフェも見つかる。
だいいちお金がない(!_+)
だから、身の安全を守るためには公衆トイレの個室で夜中に過ごすことが多いんですね。
公衆トイレなら、とりあえず女性専用だし。お金はかからない。
自分を守るすべとしては公衆トイレはDVから一時的に逃れるのにはちょうどいいところですよね。
実はドメスティックバイオレンスの悩み相談を受け付けているところでは、こういった行動はよく知られていたそうなんですね。
そのことを見越して、最近では行政がちょっと気を利かせたことを始めたんです。
神奈川県では、「配偶者暴力相談支援センター相談窓口」 の救済の申し出先を伝えるために公衆トイレに貼ったんです。
トイレにDVから逃れてきた人が、気がついてくれるようにと。
気がきいてますよねぇ。
年末年始なんかは、特にこういった公衆トイレに駆け込むケースが増えるとか…
子供にDVがおよんでいると気がついたら即離婚
さらに、子供がいる場合は、子供に暴力が及ぶこともあります。
DVは子供の心にも深い傷を残して、暴力をふるうようになったり、被害者になったりすることもあるなど、将来に大きく影響してしまいます。
暴力の対象が子供にまで及んでいるときには、迷わず離婚を決意 してください。
父親が母親を無視したり、突き飛ばしたり、大声で罵倒する姿を子どもが日常的に見ているなんて・・・・
挙げ句の果てに父親の父親の暴力によって母親が大流血するシーンを見せられた子供が、どれだけ傷つけられるでしょうか。
そんな危険な場所に、子供達と一緒に住み続けた影響を想像するだけでも・・・・
「子供のために離婚しない」という理由は、DVでは通用しません。
→子どものために離婚しない?夫婦仲が悪い家庭の子供の心は不安定
相手はいうことを聞かない子供をしつけているつもりで危害を加えているという自覚が全くないのです。
口で注意するのと変わらない、ちょっとつついた程度と感じているだけなので、自分の暴力を過小評価しているところもあるんですね。
子供を守りたくても、自分も暴力を受けて口を出せないケースが多いのも配偶者暴力(DV)の特徴です。
そのまま放置していると、それこそ取り返しのつかないことになりかねません。
命の声を無視しないで『離婚したい』と思ったのなら、勇気を出して、最寄りの配偶者暴力相談支援センターや警察などの公的な機関に相談することです。
特に、子供を抱えて逃げる場所がなく我慢しているなら、一時的に身を寄せる避難所を紹介してくれますし、離婚や自立への手助けもしてくれます。
離婚に際して、DVを受けていると自分がうつ状態で親権者になれないかも、と思うこともあるかもしれませんが、鬱だからといって親権者になれないということはないです。
ほかにも、相手を遠ざけるために接近禁止命令や退去命令などの保護命令を申し立てたり(DV防止法10条)、相手を告訴したりする法律相談や、経済的支援、就職のこと、子供の修学など、さまざまな問題についても関連部署と連携したケアを受けられます。
DVは子どもにも連鎖する
子供を虐待する親の多くは、自分自身も子供の時に暴力を受けていたことが多いことがわかってきています。
逆に言えば、暴力を受けて育った子供は、将来的にDVをする方になる可能性があるということです。
人は自分が受けてきた痛みの分だけ、人を傷付けようとする習性があります
この暴力の連鎖を断ち切るにはもう一方の親や周囲が協力して、子供を暴力や虐待から守ることが何よりも大切です。
そのための法律が児童虐待防止法です。
虐待には、直接的な暴力や暴言、ネグレクト(育児放棄)のほかに、子供の前で行うDVも含みます。これは、DVを見ることで心理的外傷を受けるからです。
子供の体に不審なあざなどをみつけたら児童相談所や子供家庭センターなどに相談しましょう。
DVにもいろいろな形がある
配偶者からの暴力にはさまざまな形があります。
過去に虐待を受けたのか、過保護エリートの逆ギレなのか、家庭内で豹変する人も増えているようです。
そういったDVをする人の特徴は、
DVで一回発散できると習慣性もって繰り返します
気にくわないとすぐに暴力をふるう
身体的暴力には
「なぐる 平手で打つ、小突く、つねる、蹴る、殴るふりをする、ものを投げる、引きずり回す、首を絞める、刃物を突きつける、やけどをさせる、、、、、」
酒を飲むと酔って暴力をふるう、という人もいます。
酒については、飲酒を法律で禁じているわけではないので、通常の飲酒で離婚が問題になることはありません。
しかし、酔っ払って妻(夫)に暴力をふるうことなどをすれば別問題です。
性的暴力には
「脅しや暴力による性交渉の強要、避妊に協力しない、中絶の強要、見たくないのにH動画を見せる、、、、」
精神的暴力
精神的暴力には
「言葉で侮辱する、罵詈雑言を浴びせる、発言権を与えない、何を言っても無視する、大声で怒鳴る、大切にしているものを壊したり捨てたりする、見下す、、、、、」
たとえば、食事の支度が遅かった、帰りが少し遅かった、部屋が片付いていない、というようなことで、暴言を吐いて怒鳴り散らす・・・・
そのあげくに何週間も何ヶ月も口をきかなくなってしまうような行動は、身体的暴力ではないのですが、精神的暴力にあたります。家庭内別居と似てますよね。
こうしたことが日常的に繰り返されると、妻(夫)は夫(妻)の顔色をうかがいながら、機嫌を損ねないように、とおびえて暮らすことになってしまうのです。
また、相手の暴力がどの程度なのか、どのくらいの頻度で受けていたかを証明する必要があります。
特に裁判まで進んだら、この立証が判決の中心となって、慰謝料の請求にも影響してきます。
暴力を受けたときの状況を記録したり、医師の診断書をもらったり、あざや傷の写真を撮るなどして、必ず証拠を残すようにしましょう。
経済的暴力っていうのもあって
「生活費を渡さない、働くのを禁止する、支出を細かく監視する、、、、」
夫(妻)が暴力をふるうことをはずかしいと考えたり、自分にも落ち度があるから、などと誰にも相談せずに悩んでいる妻(夫)も多いです。
DV(ドメスティックバイオレンス=家庭内暴力)を受ける人の特徴
DV被害者の中には、「あの人は本当に優しい人で、悪いのは私のほうです」と自責の念をもっている場合があります。
機嫌のいいときにだけ優しくされて、感覚が麻痺するようです。
DVって家庭内という密室で繰り返し行われているので、親兄弟などの周りに知られにくいということもあるかもしれません。
加害者である夫(妻)が、家の外ではとても優しい仮面夫婦の場合も多く、話をしても信じてもらえないケースもあって被害が事件にまで発展してしまうこともあります。
DVがすごくて離婚したい、と思ったのなら、家を出てから離婚調停を申し立てるなどして、直接話す機会をつくるのは避けることです。
調停委員にお願いすれば、裁判所内で相手と出くわさないように便宜をはかってくれます。
調停することに抵抗があるとしても、DVで離婚したいと思って悩んでいたり知りたいことがあれば、まずは家庭裁判所に行くといいです。
もちろん、「離婚できるか、できないか」の判断はしてくれませんが、主に手続き的なことであれば、わかりやすく教えてもらえます。