調停する部屋は小さい会議室の様子
家庭裁判所で調停
こんな言葉を想像するだけで、緊張してしまいますよね。
実際に、家庭裁判所に足を向けることなんて、一生のうちに行かない人の方が多いですからね。
調停は家庭裁判所の区切られた部屋で行います。
実際に行くと、テーブルとイスがあるだけで、小さい会議室のようにも思えます。
そんな、家庭裁判所での離婚調停の手続きと、流れの雰囲気を、3分で読めるくらいにまとめて振り返ってみます。
調停の雰囲気をすぐにでも知りたいならこちらから
そもそも離婚で調停を利用する場合とは
離婚についての調停を利用するのは、
- 協議離婚で離婚したいけどできない
- 離婚したくないけど、調停で第三者を挟んで話し合いたい
このどちらかです。
ほとんどが、夫婦のどちらかが離婚したい意思があるか
「離婚する」までは決まっているけど、子供や財産の詳細の条件が合わない時に利用されるんですよね。
本来は、夫婦が話し合いで、協議に協議を重ねて妥協点を探る、ということなんですよね。
でも、協議離婚ができないのであれば、最終的には訴訟で離婚を要求することになります。
離婚調停の申立てはカンタンで安い
離婚調停の費用って高いんですか?
離婚調停の申し立て費用は、
- 収入印紙代 1200円
- 呼び出し通知に必要な費用としての切手代約800円(裁判所によって前後します)
だけです。
調停自体についてかかる費用は、上記のようにほんのわずかです。
調停だけではないんですが、裁判所って聞くとどうしても弁護士さんが関わってすごい費用がかかりそうな気がしてしまいます。
ましてや調停の申立手続きもわからないし、その後の進め方の自信もないと、自分ではできない!って思いますからね。
そう思って、どうすればいいのか悩んでいる方もいます。
でも、それは心配のしすぎです。調停は安くてカンタンにできますよ。
離婚調停の期間にすることの流れ
調停にかかる期間は、おおよそ6ヶ月〜1年です。
申立が受理されると
離婚調停の申し立てが受理されると、事件番号がつけられます。
この事件番号が名前のようなものです。書類や資料を家庭裁判所に郵送したり、なにかの問い合わせをするときにはこの番号が必要になります。
申立が受理されてから1〜2週間後
裁判所内部で、書類の事前チェックがあった後に、調停委員が決められて、家庭裁判所が第一回目の調停期日を指定します。
申立が受理されてから1ヶ月〜1ヶ月半後
呼び出しに応じて、出廷します。
調停が行われるのは、平日の昼間。1回の時間は2時間程度です。
呼び出しは双方に対して同日同時間なのですが、申立人と相手方は、原則として同席することはなく、控え室も申立人と相手方で分けられているので、まったく顔を合わせないまままでも調停は進められます。
すると、通常男女各一人の調停委員が、申立人と相手方それぞれの言い分や事情を聞いて問題点を整理したり、今後の調停の方向付けをします。
どうしても指定日に出席できない場合は、家庭裁判所に「期日変更申請書」を提出すれば変更してもらえます。
正当な理由がなくて裁判所の勧告にも従わないで欠席を続けると、5万円の過料に処せられることもあります。
弁護士などに代理人を依頼した場合も、本人と代理人が出席するのが原則です。
第2回以降の調停期日は、前の回の調停の席で決まります。
調停期日のスケジュールは、その裁判所の業務状況によるのですが、1ヶ月から2ヶ月に一回の割合が通常です。
6ヶ月〜1年で調停が終了すると
調停が成立したら
調停を何回かすると、申立人と相手方の間で離婚の意思が固まって、双方が納得することができて、調停委員会が離婚するのが妥当と認めた場合には、離婚が成立し調停が終了します。
たいていの場合は調停は何回か開かれますが、およそ8割は6ヶ月以内に解決するなど結論がでています。
調停の内容がまとまると、審判官(裁判官)は、調停の行われている部屋で、当事者の前で調停事項を読み上げ、当事者に確認させます。
調停の内容に異議がある場合には訂正してもらいます。
ここで、わからないことがあれば、納得できるまで説明を受けるようにします。
調停調書に記載がないことは、調停で決まったことにならないので、必要なことは必ず調停条項に入れてもらうようにします。
調停成立の時に決まってしまうので、調停の内容そのものは後で変更することはできません。
調停が終了して、離婚の意思や離婚に関する具体的な合意内容を、調停委員と審判官(裁判官)と裁判所書記官が立ち会って、調停調書が作成されます。
調停調書として作成します。
この調停調書が作成された時点で、調停離婚は成立します。
離婚成立日は、調停が成立した日になります。
調停調書は、確定した判決と同じ効力を持っているので、作成後には記載内容に不服を申し立てることができません。
また、強制執行もできます。
調停が成立して10日以内に市区町村に届け出る必要がある
離婚調停が成立したらあとは手続きだけです。
調停が成立したその後は「離婚届」を提出するのみです。
調停調書が作成された時点で、法律上は離婚が成立していることになっています。
調停調書が作成されると家庭裁判所での調停手続きは終了するからです。
法律上、離婚は成立しているのですが、戸籍に記載してもらうために調停調書とともに離婚届を提出しなければなりません。
申立人・相手方のどちらか一方が調停調書の謄本を添えて、調停成立の日から10日以内に離婚届を本籍地、あるいは住所地の市区町村役場戸籍課に、離婚届と調停調書の謄本を提出して、提出する必要があります。
本籍地でない役所に提出する場合には、戸籍謄本が必要です。
離婚の調停が成立したからといって、裁判所が市区町村役場に離婚についての届けをしてくれることはありません。
この場合、離婚届の署名押印は申立人だけでよくて、協議離婚のような証人も必要ありません。
離婚調書の謄本を添えて提出が必要です。
調停調書の省略版も提出できる
調停調書には、離婚の成立以外にもその他の合意内容のすべてが記載されます。
これを役所に提出することに抵抗を感じる場合は、裁判所が当事者の求めに応じて別途作成する省略調書を調停調書の代わりに提出することもできます。
省略調書には、離婚の成立と未成年の子供の親権者だけが記載されます。
離婚届が提出されると、戸籍には「調停離婚」と記載されます。
届け出をしなくても、調停離婚では、家庭裁判所の調停成立時に、離婚は成立しているので離婚届は事後の報告的な意味合いしかありません。
離婚届に「調停離婚」と記載されると、争ったように見られて体裁が悪いという方もいます。
その場合には「調停により離婚する」と記載しないで、「○月○日に協議離婚届を提出する」という形で調停を終わればいいだけのことです。
そうすれば、調停をしたけれども協議離婚をしたことになります。
住民票の移動や印鑑登録も忘れない
離婚後に、住所が変わる場合には、住民登録係の届出(転入届など)が必要です。
届け先は、移転先の役所です。
離婚届を出しているので、出さなくてもいいように思ってしまいますが、戸籍と住民票の制度は異なるので移転届けとうの手続きが必要です。
住所を移転するために、郵便物を転送してもらうことも必要です。
これは最寄りの郵便局に届けておきましょう。タダで一年間有効で更新することもできます。
また、印鑑登録していれば、この届出も忘れないでくださいね。
調停が不成立だったら
調停を重ねても離婚そのものや親権、養育費など、折り合いがつかないとき、相手が調停に出席しないなどの場合には、調停は打ち切り、つまり不成立になります。
どうしても離婚したいのであれば、家庭裁判所で離婚裁判を起こします。
または、時間をおいてもう一度、調停を申し立てることもできます。
調停や離婚訴訟になると何を言っていいのか、不利になるのかなど微妙な判断が必要なときもあります。
調停で争いになっている夫婦のどちらかは、たいてい法律の専門家に相談しています。
離婚調停の申し立て手続き
離婚調停をするための最初の 手続き は誰がするんですか?
離婚調停の申立手続きは、夫婦のどちらかが家庭裁判所に「夫婦関係調整(離婚)」を申し込みます。
離婚調停は夫婦以外の第三者が申立人となることはできません。
調停の申立に必要な書類はどんなものがありますか?
申立に必要な書類は以下のものです。
- 申立書3通
- 事情説明書
- 連絡先等の届出書
- 進行に関する照会回答書
- 夫婦の戸籍謄本1通
- (相手に知られたくない情報などがある場合)非公開の希望に関する申出書
- (年金分割の申立を含む場合)年金分割のための情報通知書
- 収入印紙1200円
- 連絡用の切手代
ほとんどの書類が家庭裁判所にあります。
手ぶらで家庭裁判所に行って記入しても大丈夫なくらいです。
調停の申立書は、全国の家庭裁判所の窓口に定型化された申立書が備えてありますし、インターネットでもダウンロードできます。
この用紙に、離婚調停の申し立ての趣旨、申し立ての実情など必要な事項を記入すれば、申立書は作成できます。
その他に夫婦関係の破綻に至るまでを時系列にまとめた資料ができていれば一緒に添付します。
調停を申し立てる時に 理由って必要なんですか?
調停の申し立てには、法的な離婚原因や理由は必要ありません。
調停のメリットは、離婚そのものに限らず、親権者・監護者、養育費、財産分与、慰謝料、婚姻費用、面接交渉など離婚に関するあらゆる問題を同時に解決することができるところです。
また、有責配偶者からの調停申立でも認められます。
離婚に迷いがあるときでも離婚調停はできるんですか?
離婚すべきか、気持ちがはっきりと決まってなくて迷っている状況でも調停を申し立てることができます。
家庭裁判所の夫婦関係に関する調停は、「夫婦関係調整調停」と分類されていて、テリトリーが広いのです。
離婚を求めるものだけではなく、それぞれの夫婦の悩みに会わせて裁判所が夫婦関係の仲裁をしてくれるものもあります。
これが、円満調停と言われるものです。
調停はどこに申し立てるんですか?
夫婦が同居している場合は、二人の住所地の家庭裁判所に、別居している場合は、相手の住所地の家庭裁判所に調停申立書を提出します。
二人が合意すれば、その他の家庭裁判所に提出することもできます。
離婚調停を申し立てた後ややっている最中にやめることもできます。
やっぱり、離婚するのはやめよう、と思いなおしたりする時ですね。
調停は申立人が「取り下げたい」と思えば、いつでも取り下げることができるんですが、
いったん取り下げると、また、離婚したい!と思ったときには、あらためて調停の手続きをしなければならないんです。
調停申立書の項目
申立ての趣旨の部分
財産分与、慰謝料、親権者、養育費などの金額は、申立人の希望額を記載します。その金額を基準に調停の場で調整されていくことになります。
申立の実情
離婚を決意するまでに至った事情と経緯を簡潔に記入します。
調停が開かれると、その詳細について説明する機会はたくさんあるので、この時点で事情やいきさつがわかってもらえないのでは、という心配は必要ありません。
あらかじめ、実情を詳しく書きたい場合には、申立書に「別紙の通り」と記載して、別紙を添付することもできます。
申立後でも「陳述書」という形式で詳しい事情を記載したものを提出して、調停委員に読んでももらうこともできます。
口で説明するより文字として整理するほうがより理解されやすいので、なるべく簡潔に、わかりやすく、感情的にならずにまとめることです。
陳述書の書き方と提出の仕方
申立書には、裁判所で決められた書類以外に、離婚を思い立った理由や、思い至るまでの経緯などを詳しく書いた陳述書を添えるのも効果的です。
陳述書とは、調停の事前に提出し、調停の論点を浮かび上がらせるために作成する、裁判の証拠ともなるので、内容は事実のみを的確に書きます。
調停離婚を担当する家庭裁判所の担当書記官あてに、直接あるいは郵送で提出します。事件番号と自分の名前が確認できるようにしておきます。
提出された陳述書は調停前に調停員に読んでもらえます。
調停の短い時間で自分の気持ちや事情を説明するのは難しいので、陳述書が役に立ちます。
陳述書
〇〇家庭裁判所御中 ←提出先の家庭裁判所あてを記入
陳述書を記入した日付→ 平成〇〇年〇月〇日
名前、押印。印は認め印でも大丈夫→ 〇〇 〇〇 印
一、〇〇について
二、〇〇について
三、〇〇について
- わかりやすさを心がけて、論点ごとに段落を作って、箇条書きにして記入するといいでしょう。それだけで、心証がよくなります。
- 内容は、まず、結婚に至るまでや家族構成を記入。離婚原因の発生・最初の確認、経過、現状といった時系列でわかる方がいいです。具体的な日付があるとさらにいいです。
事情説明の中で、DVの証拠になるけがなどの診断書や、不貞の証拠写真などがあれば、提出することもできます。
しかし、これらのものは、自分にとって作戦を成功させるための大事な武器なので、あまり早期に相手方には見せない方がいいでしょうね。
その場合には、調停委員に相手方にはそれらの存在を伝えないように依頼することもできます。
調停申立てすると決められた日に来るように家裁から呼び出しがある
離婚のような家庭裁判所で調停ができる性質の事件での訴訟提起には、調停前置主義があるので、まず調停をすることが必要なんですね。
調停には出ないと言っているとしても、それでも調停の申立は必要なんです。
相手が調停には出ない、と言っているというのは裁判所がイヤだということもあるかもしれないですが、何よりも離婚自体に応じない、という意味の時もあります。
調停に出ない、と言ったというのは、お互いの間での論争なので、裁判所から出廷の呼び出しがあれば出るかもしれませんね。
相手が調停にでないとどうなる?
たとえ過料の制裁があるといわれても、まったく出頭する気のない人もいます。
こういった場合でも裁判所は調停に来るように、呼び出しを重ね続けます。
呼び出しを重ねても不出頭の場合には、家庭裁判所の調査官が調査に行って説得をします。
この出頭勧告で出頭する例が多いそうです。
それでも、正当な理由がなく相手が出頭しなければ、5万円以下の過料の制裁を受ける可能性もあります。
いずれにしても、相手が出頭しなければ、調停を取り下げるか調停不成立となります。
もしも、調停に出頭しても結局は相互の合意になるので、合意ができなければ調停は不成立、となります。
離婚すること自体については合意できても、
- 親権者の決定
- 財産分与
- 慰謝料
- 養育費
- その他の条件
調停に向かう時のアドバイス
調停に向かう際に準備した方がいい物は、
陳述書と呼ばれる自分の考えを紙に書き出してまとめたものと、
相手の言い分などを調停中にメモするためにノートと筆記用具、
次回スケジュール調整のためのスケジュール帳です。
呼び出し日の時間に遅れないように、早めに準備して家を出て、
調停開始の15分前には待合室につくように心がけましょう。
調停では,調停委員が仲介に入ってくれるとはいっても、人任せな態度ではうまくいきません。
呼び出しの期日までにしっかりと自分の考えを書き出してみて、上手に伝えられるようにイメージできるといいですね。
調停ではお互いに顔をあわさない
いざ、調停が始まったら、どういう顔をして相手と対面するか、気になりますよね。
まず、家庭裁判所に行って
「調停の件で、来たのですが」
と受付に行くと、待合室で待つように指示されます。
そうして待っていると、やがて調停委員と言われる調停を指揮する人の一人か、または裁判所書記官が呼びに来ます。
家庭裁判所には、調停をする小さな部屋がいくつもあってそこで話し合います。
申立人(調停をするように言った方)から先に調停室に入るように順番が組まれています。
離婚調停は原則として夫婦が顔を合わせることはなく、調停委員を通じて進行していきます。
離婚調停とは、協議離婚できなかった夫婦が離婚について調停委員という第三者を通じて
離婚するかしないか、条件はどうするか話し合う手続きです。
正式には「夫婦関係調整調停」と言って、離婚調停を先に言い出した方が「申立人」、申立てられた人のことを「相手方」といいます。
調停が始まったときの注意点
調停委員は基本的には中立の立場で話を進めますが、
人間なので、心情的には、夫婦のどちらかの肩を持つという気持ちが少なからず出てくるようです。
相性の問題もありますが、できるだけいい印象を与えて味方につけた者勝ちです。
そのためには第一印象はとても大切です。
人の第一印象は9割が見た目で決まると言われていますね。
ベストセラーになった本もあります。
服装、アクセサリーは清潔感があり派手すぎず、質素なイメージを心がけたほうがいいですね。
面接に向かうときのように堅苦しいものでなくてもいいですが、
だらしがない格好をしていると、調停委員の印象が最初から悪くなってしまいます。
小さな子供がいる場合には預けていく方がいいと思いますが、
同行する人が見てくれる場合などのために、待合室にベビーベットが設けられている裁判所もあります。
でいれば、事前に確認しておくといいですね。
調停室に入るとひたすら話を聞いてくれる
申立人と相手方はそれぞれ、調停室で調停員を通じて話し合い をします。
家庭裁判所での離婚調停は裁判ではないので、
調停委員会(裁判官と調停委員)と本人とでテーブルを囲んで話をするようなかんじですね。
もちろん非公開です。
刑事ドラマにあるような、取調室のような感じなんですか?
そんな緊張感のある雰囲気はなく、すぐにリラックスできるような、まるで会社の会議室のような雰囲気です。
テーブルを挟んで調停委員と向き合って話をするようになっています。
第1回目の調停では、原則として調停の開始時と終了時に当事者本人が同時に調停室に入ります。
そこで、調停の手続きや進行予定などについての説明をうけます。
- 「調停は裁判ではない。」
- 「調停委員は、夫婦から話を聞き、解決に向けて手助けをする。」
- 「調停で合意した内容は、書面にする。」
- 「書面は判決と同じ効力を持つ。」
- 「合意に達しない場合は、裁判になる。」
という説明がされます。
裁判じゃないからいろいろ話してね
でも、決めたことは裁判と同じ効力があるよ
ざっくりこんな感じです。
どうしても相手と顔を合わせたくない場合は、
最初に『調停をしたい』と書く紙に「進行に関する照会回答書」に具体的な事情を記します。
DVが原因で調停する場合なんかですね。
その説明が終わると、その後、それぞれが別の待合室で待つことになります。
そして、再び、先に申立人が調停室に入って、
調停委員が夫婦の生活の様子や、調停を申し立てるに至った経緯などについて聞きいてきます。
もう顔も見たくない相手と、話し合いのテーブルにつくのはイヤだぁ!って人もいるかもしれませんね。
でも、調停期日の最初と最後の説明時にほんの数分顔を合わせることもありますけど、
調停委員への事情説明ややりとりは夫婦別々に行われるんです。
調停委員が夫と妻の間に入って、双方の言い分を聞いて、
最終的は話し合いによる解決を目指すのが調停です。
訴訟は 当事者双方の言い分と証拠に基づいて、裁判所が一方的に、一刀両断して判決を下します。
調停 の場合は、そうじゃなくて、当事者の合意によって事件を解決しようという手続きなので、
本人の気持ちが大きい働きをします。
まず、
申立人が聞かれること
- 二人の経歴や結婚した経緯
- 夫婦生活の変化、夫婦がうまくいかなくなった経緯
- 離婚を考えた事情
- 財産について
- 財産分与や慰謝料請求額について、請求額の根拠
- 子供の親権者について
- 子供の養育費の額について
このときまでに、書面にまとめて提出するとスムーズに調停が進みます。
相手方が聞かれること
次に、相手方が調停室に呼ばれます。
調停員が、申立人の話に間違いがないか、相手方の意思・希望を聞きます。
違うことがあった場合には、このときに話します。
相手方も書面にまとめたものを提出できます。
一方が調停室に入室している間は、一方は顔を合わさないように別の控え室で待機します。
だいたい20分から30分くらいですね。
調停は、夫婦それぞれの話を聞いた後に、聞いた話をそれぞれの相手に伝える、というような感じです。
まとめると、
- 個別に、夫婦生活の様子。
うまくいかなくなった原因、子供の問題。
- 収入、財産状態、今後の見通しなどを聞き取り、
双方の言い分を相手方に伝える。
- 誤解があれば誤解を解いて、
お互いに歩み寄れないか、
やり直せないかなどを説得して調整を行う。
こんなシンプルな感じです。
1回の調停で2〜3時間かかります。
調停は平日の日中しか行われず、日時も指定されるので、
仕事をしていると、休暇を取らなければならないこともあります。
なによりも時間がかかります。
片方が調停室に入っている時間が長く感じられるので、本でも持って行くといいですね。
離婚調停では調停委員とずっと話しをしているんですか?
たいていの場合は、調停委員のどちらかと会話していますが、話が長引くこともあります。
相手の方が話が長い時って、有利に取り計らわれるんですか?
相手の時間が長いからといって、べつに相手が有利となるわけではないので気にすることはないです。
話をまとめるのが下手な場合とか、伝えるのがうまくない場合もありますよね。
たまに話しが膠着状態になったときに、調停委員が「評議します」と言ったまま30分以上呼び出しがないことはあります。
調停でも、真っ向に意見が対立している場合には、調停委員も悩みます。
- 「どのように話し合いを進めるべきか」
- 「打ち切ったほうがいいのか」
と調停委員だけで判断ができないときは、裁判官に相談している時間です。
裁判官は、その時間に行われている多数の調停案件を同時に対応しています。
調停委員からの相談が集中した場合は順番待ちにばって、けっこうな時間がかかってしまうこともあるのです。
離婚の調停で問題になるのは、親権・財産のことがほとんどです。
夫婦二人でややこしいことを冷静に話し合うことが難しいので、調停をしているんですね。
調停まで進んでしまうと、離婚後に財産をどうするかは夫婦二人で話し合えません。
調停委員を通じて話し合う前に、家の財産チェックをしておいた方がいいです。
もし自宅などの不動産を所有しているのなら、
最終的に離婚したとなるとお金の問題は、財産分与で清算、という方法をとります。
売却したらどれくらいの価格になるかを出して、資産価値からの処分を調停の題材にしておきましょう。
あらかじめ計算しておくと、有利に離婚条件を展開できる可能性があります。
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調停で話す内容のポイント
離婚調停では、原則として夫婦が同席して顔を合わせることはなく、
交代で何度か調停委員を通じて話し合いをします。
言いたいことを全部話せばいいだけなんですが、不必要にべらべらしゃべるべきではないです。
営業マンと同じですね。
相手に遠慮なく思ったことが言えます。
離婚事件のような身分法に関わる事件は、財産問題のように打算だけで解決できるものではなくて、
愛情とか嫌悪など本人でなければわからない要素が多いです。
だからこそ、調停の場合は本人の意向を中心に調停が進むんです。
思っていることは、冷静にみえるように、かつ、すべて言ったほうがいいです。
離婚調停中の注意点とアドバイス
離婚調停って、ほぼ100%の人が慣れていないんですよね。
緊張もします。
それに、ネガティブな話をして、解決の道を探すわけです。
離婚が調停で解決しなくてはならない状態になってしまうと、
それだけで気分が落ち込んでしまいがちです。
さんざん二人で話し合ったことが決裂している場合がほとんどなので、もっともな感情ですね。
でも、「これですっきり片付く」という前向きな気持ちで調停に向かう人もいます。
どちらの場合でも、慣れない家庭裁判所に足を向けるだけでも緊張します。
まして、そのことを会社の人などに話す必要があるとか、
家族に説明しなくてはならないというのも、重圧感がありますね。
調停をうまく進めて、少しでも自分の思うような離婚をしたいのであれば、
できるだけプレッシャーに負けず緊張をほぐしていくのは必須です。
調停の場合も、面接の場と同じように、調停委員という面接者の心証がとても大事になります。
緊張しているということ自体は悪い印象にはならないのですが、
言いたいことがうまく言えなかったり、間違ったことをいってしまったら、自分に不利な展開になってしまうこともあるんですね。
実際の調停での注意点
実際の調停は、申立人と相手方が同時に調停委員の前に出て話すことは原則としてありません。
通常は、一人ずつ順番に調停委員の前で、自分の考えていることを話すことになります。
丁寧すぎる必要はありませんが、流行語などはできるだけ使わないように配慮しましょう。
上手に話しができない不安や,緊張しすぎてしまう心配がある場合は、
先にその気持ちを伝えておくのも好印象につながります。
「緊張してうまくお話しできるか、とても不安です」
と素直に伝えておくのがいいと思います。
調停では、相手と顔を合わせないという安心感がある反面、
相手がどんなことをどんな表情、口調で話しているかをつかむことができないことにもなります。
調停室に入ったときには、きちんと挨拶をして、礼儀正しく振る舞うなど、調停委員に好印象を与えるように配慮しましょう。
同じことについて、ほぼ同じ結論を出していても、それぞれの説明がまったく違う内容になることもあります。
単に意見の相違なので、どちらが正しいというものではないのですが、
だからこそ、相手の意見が通る可能性も否めない、ということになります。
むしろ、事実と違うことや現実的には無理な内容でも、論理的に話されてしまうと流れが変わってしまう場合もあるのです。
もしも、驚くような内容が相手から話され、それについて調停委員から伝えられても、そこで衝撃を受けて、話せなくなってしまっては困ります。
どんな話が向けられても、冷静に話を最後まで聞き、きちんと自分の考えを話すようにしなくてはなりません。
もちろん、自分が話すときには、相手からの反論も考慮に入れて、話すことをまとめておきましょう。
できれば、書面にまとめ ておくといいです。.
事前に考えておくことで、取り乱したり、思わずつじつまの合わないことを口走ってしまう危険性を回避できます。
準備万端で、調停委員の前で、上手に話せるようにしましょう。
調停委員に理解してもらうために資料を用意しておく
せっかく調停をするのですから、自分の置かれた状況や気持ちをできるだけ正確に調停委員に理解してもらうことが大切です。
自分の状況を調停委員に正確に理解してもらうためには、調停に臨む準備が必要です。
準備すべき内容は、その人が置かれた状況によって異なりますが、だれにでも不可欠なものが年表です。
配偶者との出会いから始まって現在に至るまでの経緯をわかりやすくまとめることで、
自分の記憶を整理することにもなりますし、調停委員も夫婦のことを正確に理解することができます。
このような資料があると、話し合いがスムーズに進むようになります。
こうして回を重ねて調停委員を介して話が進みます。
調停委員からは、アドバイスや調停案が出されますが、最終的な結論を出すのはあくまで当事者です。
調停委員の流れにのまれない
調停委員の言ったことに、飲まれないようにすることも大事です。
調停委員はどこかで、すべてを聞き入れてくれるような表情で話を聞いてくれます。
ところが、相手方の話を聞いた後には、相手の立場に立って、あなたに相手の言い分を提示して、そうしてはどうか、と提案したりもします。
そんなときに、どぎまぎしてはいけませんが、最もいけないのは逆上して自分の考えをガンガンとまくし立ててしまうことです。
これだと悪い印象を植え付けるだけです。
決して戦いではないので冷静に対応しましょう。
当事者同士だと感情的になってまとまりにくい話し合いも、調停によって冷静に進めるめることができて、
離婚の条件なども、第三者が関わることで不公平にならないように取りはからってくれます。
DVなどの危険を伴う場合には弁護士の動向や、代理出席も可能です。
同行の場合には相手方にばったり出会うことがないように、入る時間、帰る時間などに配慮してもらえるように代理人を通して伝えましょうね。
調停委員によれば、雰囲気次第ではいっしょに同席して話し合いもすることがあるそうです。
たいていは、調停は1回ではおわりません。
その日には合意できないことが多く、次回の期日を決めて終了します。
めでたく?離婚調停が成立すると、最後の調停調書の読み上げの時のみ、夫婦で同席となります。
おそらく、これが最後の最後の事が多いですね。
調停をしていた部屋に通され、お互いの視線には入っても、一切お互いを見ることはない神経が張り詰めた雰囲気になります。
ただ、調停調書を読み上げる間、裁判官だけを見ている、一種独特のオーラがただよっています。
実際に夫婦が同席したときに起きたびっくりするケースがありました。
妻が500万円の札束を調停の席でドン!と置いて
「これで離婚して・・・・」
と言ったのです。
調停委員があっけにとられているうちに、夫が札束をむしり取って
「あぁ、いいよ」
と言って離婚成立となりました。
調停には弁護士が同席していたんですが、弁護士もびっくりでした。
このようなケースは滅多にないんですが、離婚に合意が成立すれば、調停成立。合意の見込みがなければ調停不成立です。
調停不成立の場合にはじめて離婚訴訟
調停を重ねても合意に達しない場合や、相手が調停の席に着かない場合は調停不成立
どうしても離婚したいなら、離婚裁判をすることになります。
調停不成立の場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を提起をすることができます。
「できる」だけなので、調停不成立のまま、離婚せずに婚姻状態でいる夫婦も少なからずいるんですね。
それは、訴訟をするとお金がかかりますよね。
訴訟費用は安くても、80万程度はするので、思い切りが必要だから、という意味もあるんですね。
今は、訴訟費用を立て替え払いができる制度もあって、調停でもうまく利用できます。
→離婚裁判の費用|法テラスは弁護士費用の立替払いも分割払いもできる制度
離婚訴訟の判決には、離婚自体のほかにも、
- 親権者
- 監護に関する事項
- 財産分与
- 慰謝料
- 養育費
これが、調停申立を経ることなく家庭裁判所にいきなり訴訟を提起したときには、裁判所が調停にまわしてしまいます。
調停に出ないからといって、訴訟のように欠席裁判が行われることがない、というのが離婚調停なんです。
調停に関する専門書やインターネット上の情報などで、調停をイメージしてから向かうといいでしょう。
また弁護士や離婚カウンセラーに事前に相談して、調停に際しての注意点や陳述書の書き方などアドバイスを受けるのもおすすめです
調停で話すポイントや流れを的確にしたいのであれば、経験豊富な弁護士に聞くといいです。
離婚訴訟の専門家はどうすれば、うまく調停をすすめられるかなどに精通しています。
法律的な解釈が必要なくらいの離婚の相談をしたいならば、最終的には弁護士に相談したほうがいいです。
離婚調停の手続きと流れ(まとめとアドバイス)
おおよそ、離婚調停の流れと、雰囲気はつかめたでしょうか。
ざっくりとイメージすれば、
調停委員という第三者が夫婦の話を聞いてくれる
というのが離婚調停です。
裁判みたいに堅苦しくないし、相手も目の前にいないので、何も言わないのは損です。
どのように進行しどんな雰囲気なのか|これを読めば3分でわかります
ここまで、調停の雰囲気を紹介しましたが、
どうしても裁判所には抵抗がある
というなら、まずは自分で調停を利用しないで解決する方法を試してみるといいです。