ちゃんと離婚したつもりでも偽装離婚?

資産隠しは財産分与がパーになることもある

 

偽装離婚 って離婚する前から何かたくらんで離婚届をだして、離婚をするっていうことですよね

「偽装離婚」って聞くと、何やら怪しい雰囲気がありますよね。

 

本来の意味は、離婚するつもりではないけど、離婚届を提出するのが偽装離婚。

 

逆に、ちゃんと離婚したのに、偽装離婚と判断されてしまうことがあります。

 

この場合は、離婚で財産分与をして土地と建物をもらったのに、偽装離婚で資産隠ししたから元夫に返しなさいよ、って判決が出ることもあるんですよ。

よく言われるのは、経済的に何らかのたくらみがあっての離婚の形をとることを偽装離婚っていっていますね。

 

でも例えば、夫に離婚前に借金があるのに財産を妻にあげていた、それを妻は知らなかった、という場合でも、偽装離婚とされてしまうこともあるんです。

 

判例だと、偽装離婚は偽装結婚と違って有効、だといわれていますが、財産がからんで、なおかつ借金があったりするとそうはいかないようです。

 

 

偽装離婚と判断されて不動産仮処分を受けてしまった例

財産分与が詐害行為になった例

 

偽装離婚のつもりで離婚していないのに、偽装離婚と判断されて、詐害行為取消権を訴えられてしまった例があります。

 

飲食店経営の夫と2年前に離婚しました。

 

離婚の1年前に、夫に言われるがままに、財産分与で無担保の自宅(時価1500万円程度)の贈与を受けたのです。

 

分与した際にきちんと贈与税も支払い、3年ちょっとの期間が経過していました。
しかし、元妻の知らないところで、その間に元夫の事業はどんどん悪化し、しまいには債務に追われるようになっていたのです。

 

そのうちに、元夫は病気になってしまい、とうとう事業の借金の支払いが不能になってしまったのです。

 

そんなある日、元妻に裁判所から「不動産仮処分命令申立書」が届いたのです。
聞いたこともない書類でした。さっぱり意味がわからなかったので、問い合わせたところ

 

元夫が事業資金で借りた債務の返済が不能となって、その後、債権は回収会社に譲渡されたということです。

 

ところが元妻への財産分与が、財産を不当に隠したとして、「詐害行為取消権」の訴えを受け、不動産に仮処分登記がされたということが分かったのです。

 

「不動産の仮処分」とは裁判で争っている間に、訴えた相手に勝手に不動産などを処分されないように「仮に処分」しておくという登記です。

 

最終的には、元妻への元夫からの所有権移転登記をなかったことにして元に戻しなさい、というものだったのです。

 

経営に全く感知していなかった元妻は、元夫のお金のことも把握していませんでした。

 

ところが、どうやら、贈与を受ける前から返済が遅れがちだったようで、お金を貸している債権者からすれば、明らかに資産隠し、偽装離婚だろう!とみなされたのでした。

 

借金がある場合の贈与は詐害行為とみなされやすい

 

債権は、300万円、延滞金150万円。元夫に資力はありません。

 

元妻自身も今はシングルマザーで生活するのにやっとの収入しかありません。

 

もちろん、弁護士を雇うお金もありません。

 

元妻も、こうした元夫の経営悪化の状況を知って贈与を受けたわけでもないです。

 

そこで、裁判所に出す答弁書にその事実を記載して提出しました。

 

そして、裁判初日、その旨を訴えたのですが、認めてもらうこことはできませんでした。

 

自分には全く身に覚えがないことでも債務者である元夫の支払いが止まっている時点で、贈与→離婚したということは、債権者に害を及ぼすと知りながら自分の財産を減少させるという明らかな詐害行為にあたる、との見解でした。

 

偽装離婚ってことになったら、離婚してから今住んでいても元の夫に所有権が戻っちゃうんですか?

そうなんです。

 

偽装離婚だと、離婚はニセモノだったってことになるので、元に戻されちゃうんですね。

 

最悪、自宅を競売にかけられちゃうこともありますよ。

詐害行為で判決が出てしまうと、不動産の所有権が元夫に戻されて、そのまま差し押さえが入ると、最悪の場合、競売になってしまいます。

 

この例では、それをなんとか避けようと、元妻は元夫の経営の悪化を知らずに贈与を受けたことを主張して、和解 を申し立てました。

 

債権回収会社との和解協議の結果、元金300万円を支払うことで、延滞金の免除の合意をしました。

 

300万円は知人から借りて返済し、和解は成立しました。

 

債務は一切なくなり、その後、自宅は売却して300万円も返済しました。

 

残ったお金で税金を支払い、あとはそのまま生活資金として貯金にあてました。

 

 

実際に財産分与で資産隠しがあるから疑われる

偽装離婚で資産隠し

 

離婚による財産分与であると言って逃れるケースもあるのですが、それを狙った偽装離婚も実際には多かったりします。

 

納得がいかない部分もあるのですが、資産隠しのつもりはないのに、借金がある場合の贈与は、後で詐害行為で訴えられる可能性が高いので、贈与を受ける側も知らなかったでは済まされないのが現状です。

 

借金がある場合の離婚に伴う贈与は、悪意がなくても悪意ととられてしまうことがあります。

 

資産隠し だと裁判所や税務署ににらまれてしまうと、財産分与をして離婚したのに、蒸し返しになってしまいます。

 

それに、離婚前、離婚後のどちらで贈与するかによって、贈与税や譲渡所得税がかかるので、その意味でも安直な贈与はしないほうがいいです。

 

いちばん無難な方法は、不動産は売却してしまうことです。

財産分与が不動産の場合は売却しておいた方が無難

 

離婚について話し合う前に家の財産チェックをして価値を把握しておきましょう。。

 

現在の自宅の価値と住宅ローンの残高はあらかじめ計算しておくと、有利に離婚条件を展開できる可能性があります。

 

現在の価値から、住宅ローンを引いた額が財産分与になるからです。

 

簡単な計算方法は→住宅ローンがある場合の、財産分与の計算方法

 

 

     

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