夫の親の介護と妻の不満
義理親の介護はプチ地獄
熟年離婚の場合、婚姻期間が長いことから、離婚にいたってしまう不仲の理由はさまざまです。
その理由が複雑に絡んでいる場合が少なくありません。
こうした理由の一つに、親の介護の問題もあります。
介護は、育児と違って、先が見えないところに不安があります。
死にたくてもそう簡単に死なせてもらえない超高齢化社会。
そこに、プラスして、仲のよくない義理親の介護だったりしたら…
容易にプチ地獄の生活が想像つきますよね。
ここでは、介護が大変だから離婚したい、と考える妻の不安要素をまとめてみました。
押し付けられる介護の先は見えない
人口動態社会経済面調査では、65歳以上で亡くなった人の、寝たきりの平均期間は8.5ヶ月です。
寝たきりになっても、認知症になっても、亡くなるわけではないから、さすが文明社会!
そう言っているのは、現実を知らない机に向かって仕事をしている方々です。
結婚して、義理親の介護をさせられる妻は、不満と不安が爆発しているからです。
義理親の 介護がイヤ でイヤでしょうがないんですね。
夫にも押しつけられてどうしても離婚したいんですよ。
タダでさえ夫は他人なのに、夫の親といったらまったく知らない人を介護するようなものですからね。
義理の親でも、とても人間ができている人なら、感謝を込めて介護もできるんですが、いままでさんざんいじめられてきて、さらに認知症にでもなった義理の親には逆に仕返しなんかしたくなりますよね。
えぇ、悪いことかも、って思ってるけど、内心はそんな気持ちなんですよ。
それほど夫婦仲もよくなかった上に、さらに夫の親の介護していると、この先の自分の人生も終わってしまったように感じちゃうんですよね。
お金に余裕がないので24時間の介護施設に入れるわけにいかないですし。
いろいろな考え方があるでしょうけど、そもそも介護は実子がするのが前提ですよね。
妻に介護を望む夫は自分の親の介護を自分でやりたくないだけですからね。
妻だから、義理の親の面倒を見るのは当たり前、っていうのは戦前の家族制度そのものですよ。
その上、今どきの戦後生まれの年配の男性方は、年をとっているだけで偉いんだという考え方をしている横柄な人も多いです。
ちがう人もいますけどね。
だから、年寄りが死んだら悲しむのではなく、本心は安堵する人も多い時代ですしね。
そのとおりで、夫は面倒を見るのが当たり前、っていう考え方なのでそのこと自体も離婚したいと思っている原因になっています。
離婚を言い出したらこの先どうなってしまうのかが、不安だったりするんです。
義理の親には、法的にも介護義務はないので、無視すればいいんです。
24時間の施設じゃなくても、訪問介護なんかできるといいですよね。
生きていると、老いだけは誰もが平等に受け入れなければならない運命です。
今の年齢になるまで、健康状態がよくて、経済的にもある程度ゆとりがある生活をしてきた人なら、きっと長生きする可能性は高いはずです。
そこで、自分に介護が降りかかるようなら、離婚を言い出すのはカンタンです。
ただ、「離婚」という言葉を言い出したら、夫婦のニュアンス的なものが変ってきちゃったりするので、ちょっとした準備だけはしておいたほうがいいです。
離婚したいと思いつつ、離婚を言い出した後は、夫婦二人が冷静に話し合うことが難しくなります。
離婚したいと思ったら、ある程度、家にある財産を把握していると、心の余裕を持つことができます。
大まかでいいのでまずは、この家にどれくらいの夫婦での財産があるのかを把握することです。
電化製品など細かいものは後回しです。
その際には、現在の自宅の価値と住宅ローンの残高はあらかじめ計算しておくと、有利に離婚条件を展開できる可能性があります。
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熟年離婚の原因にもなる介護
親の 介護と熟年離婚 が重なると、かなり深刻な問題です。
『車椅子に乗る老人を、笑顔で介護する』なんていう、介護の一シーンにある図はありません。
すでに介護している状況の人もいるでしょうし、場合によってはそれが離婚の原因となることもあるかもしれません。
そうなったら、どうしても離婚の決意と同時に考えなくてはならないですし、すぐに何らかの形で降りかかってくることなのです。
今の時代は、かならず老人の親の介護を若い世代の子が介護しなければならないっていうことではありませんね。
平均寿命が延びて老人の親を老人の子が介護するという例が多くなってもいます。
こうした場合に想像できるのは介護で苦労するのは同居している子の妻ということになります。
そのときに自分の親の介護であるのに夫が協力的でなければ、夫婦間の争いになることがあります。
介護は離婚になってしまう争いにはならないまでも、イザコザが起きることは少なくありません。
不満の理由の一つは「舅や姑の介護をすることは当然」とする、かつての家制度の名残りと、「そんなことは結婚とは無関係」とする今の家制度の考え方の違いにあるようです。
法的には介護を扶養の一つと考えれば、妻は姑の介護をする義務はありません。
民法877条は「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」と定めているからです。
(特別の事情があるときには家庭裁判所は、三親等内の親族(妻はこれに入る)に扶養の義務を負わせることができます)。
また、介護した舅や姑の介護をして面倒をみたとしても相続があるわけではありません(ただし、夫に妻の介護の貢献を寄与分として認められることはありますが)。
つまり、愛情の問題を抜けば、介護した妻には何の見返りもなく、介護は長期間に及ぶのが通常なので、夫が非協力的だと不満がつのって不仲の原因となるのです。
離婚は家族という形を解消することなので、気持ちの上でも生活の上でも多くの困難はやむを得ないのです。
でも、そこで落ち込んでいてもどうしようもありません。
介護が大変だから、という理由で離婚を考えているならば、この先の人生に希望を持って困難に立ち向かうエネルギーをためましょう
離婚した先に、幸せになれない、と思っているのであれば、離婚して介護を逃れても幸せにはなれないでしょう。
離婚したい、と思っていても、離婚したいと思っても、離婚しないほうがいいパターンの人っています。
(扶養義務者)
民法第877条
- 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
- 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
- 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。