寂しさは妻にも夫にもどちらもある
ずっと会社で働いていた夫が、定年で家にずっといる。
そう思うだけで、うんざり、という奥様方も結構います。
そのとき改めて夫婦で向き合わざるを得なくなっていきます。
すると、これまでには見えなかった夫婦の溝の深さに気がついて、何とかしたい、と相談する奥様方が多いようです。
ある会社の営業部長をしていた夫を持つヒデ子さんもそんな方の一人です。
息子のハプニングで寂しさをラッキーにも克服できた夫婦
ヒデ子さんが、寂しさを感じて夫への不審を抱きはじめたのは、もう10年も前の40代後半の頃からだと言っていました。
そのころ都内の大学に進学した一人息子からは、ほとんど連絡も無く、夫は接待続きの毎日で午前様は当たり前。
たまの休日にも
「なんだかいつも家に私一人で、寂しくてしかたないわ」
と夫に訴えても、
「オレがいま大変な時期なのは知っているだろう。会社の生き残りがかかっているんだ」
と怒鳴られ、相手にもしてもらえません。
「でもそのときは、夫に何を言ってもこの状況は変わらない。だったら自分は自分で好きなことをしよう。」
そう思ったのです
自分は自分で楽しく生きよう
そう決心したヒデ子さんは、友人に誘われていったカルチャーセンターで陶芸やガーデニングを習い、趣味の仲間も増え、次第に寂しさを感じることも少なくなりました。
そんな日々を送るうちに息子も大学を卒業して無事に就職先を見つけて一安心した頃に、 夫が定年 を迎えたのです。
定年後1年くらいは、毎日夫と二人の生活にとまどいながらも、退職金を使ってハワイ旅行を二人で楽しんだり、以前から考えていた家の修理をしたりと、それなりに充実した日々でした。
しかし、2年目以降になると節約した生活に入らなくてはならない生活になってきました。一方で相変わらず無趣味で、親しい仲間や友人を作ろうともせず、家でゴロゴロするばかりの夫に不満を感じるようになってきました。
ヒデ子さんは、以前は友人と買い物してお茶を飲んだり、趣味を楽しんだりしていたのですが、夫が家にいるようになってからはそうそう出かけるわけにも行かず、家に閉じこもりがちになり、つきあう相手も減ってしまいました。
この頃は、毎日二人で黙って顔をつきあわせているだけの毎日です。
こういう日がこれからずっと続くかと思うと、いっそ離婚して解放されたい、と思ったりもします。
夫にどう言えば、この状況を変えられるでしょうか。
そう話していたヒデ子さんは、それなりには努力してこの何年かを過ごしてきたのです。
けれど、妻の側から一方的に夫を見ているのです。
そこで友人として言ってみたのです。
「ねぇ、ご主人に状況を変えてもらいたいと思う前に、もしあなたがご主人の立場だったら、妻にどんな風に接してもらいたいか、考えてみない?
お金を稼がなくなったら用のない存在、妻の自由を奪うだけの存在、と見られたらいったいどんな気持ちになるでしょう?」
こういう相談をしている熟年離婚を考えている方はたくさんいます。
しばらくして
明るい表情になったのです。
突然、息子ができちゃった結婚 で、子供ができたから結婚すると言い出しました。
大騒ぎになって、夫と別れるどころではなくなってしまいました。
でも、それは別として、「夫と話し合ってみてよかったと思います。向こうは向こうでやはり寂しい思いをしていた」とヒデ子さんは言うんです。
「自分は会社を辞めたら知人とのつきあいも絶えたのに、おまえは友達と長電話したり、出かけたりする。それが悔しかった」
と言ってました。
「それで、夫も一緒にできることはないかと考えて、二人でウォーキングを始めたんですよ。
『息子や孫のことを考えたら夫婦そろって健康でがんばらないといけないな』と夫も言ってくれましたので。」
ヒデ子さんのように、息子さんのことがきっかけとなって、夫婦の対話が深まったのは幸運なケースかもしれません。
この年代の夫婦には、自分や夫の両親の介護、子供の離婚やリストラ、夫婦どちらかの体調不良といったストレスを伴うさまざまな問題が降りかかってくるのが普通だからです。
そんなとき、
「とにかく二人でがんばろう」
と手を取り合えるようになるためには、できれば子供がまだ独立する前の40代のうちから将来のことを話し合っておくべきかもしれません。
10年20年前から
- 「老後は自然豊かな田舎で暮らしたい」
- 「二人で小さくてもいいから商売を始めたい」
など自分たちの未来の目標を夫婦で考えておけたらしばらくは夫婦の共通の目標なるものがありますよね。
結婚記念日などを利用して将来どんな夫婦でありたいか、話し合う機会を作っていたら熟年離婚ということすら無関係なのかもしれません。
寂しさが積もって離婚に至ってしまった熟年夫婦
対照的に妻の 寂しさが限界を超えてしまっている夫婦 もいるのです。
子どもが小さいときから夫は働きづめで、何を言っても「子育てはお前の仕事だろ!」と言われ続けてきました。
そう言われると、自分ひとりで抱え込むつらさと、寂しさがふくらんできます。
いつの日からか、子どもは父親にはなつかなくなり、妻も用事があるとき以外は口を聞かない。
寂しさも固まるくらい寒くなってしまっていました。
これは、今は多くの家庭でこんな状況なのかもしれません。
結婚生活が長くなると、妻側の態度というのは重要です。
とくに定年を過ぎた夫への言葉に今までの寂しさから、離婚になってしまうのか決まります。
そんな夫婦の関係改善に一番大事なのは、
許す心
です。
妻としての今までの寂しさやいらだちを一度水に流しせる妻。
もし、夫の本当の気持ちをよく聞いてあげることができる妻であれば、老後の結婚生活が変わるかもしれません。
妻の心が許せるくらいだったら・・・
定年になった夫に
「いままで一生懸命働き続けてきたのですから、あなたの気が済むまで休んでください。
そのうちに何かやりたいことが出てきたらなさればいいわ」
そう妻が言って、ご主人は、好きな植木の職人になるために訓練校に通って、今ではその仕事を始めているひともいます。
それまでにどれだけお互いに恨みつらみを重ねていても、それを正直に話し合うことで許し合い、お互いの存在の大切さを思い出せば、目の前のトラブルはきっと解決していけたケースです。
でも、 妻の寂しさが積もっている夫婦はこうはいきません!
妻の心が許せないまでになっていると・・・
妻の不満がとても強くなっていると
「あなたに家にこもられていると、私、自由がなくなってすごくイライラするの。
あなたは働いていないのに、私は家事をするなんて不公平よ!」
と言った妻の方は、少ししてご主人がうつ病にかかってしまったのです。
もう、夫に、
- 「友人や知人を増やして欲しい」
- 「趣味や運動を始めて外出する機会をつくって欲しい」
などの要望があっても、それを伝えるのも嫌なほど夫を許すことができないのです。
熟年離婚を現実に考えるならまずは財産チェック
結婚生活が長くなると、離婚したいと思う瞬間があります。
ただ、離婚したいと思いつつ、離婚を言い出してしまった後は、夫婦二人が冷静に話し合うことが難しくなります。
こじれて会話すらできない場合もあります。
お金をどう分けるか、という現実的な問題には立ち入ることもできなくなってしまいます。
だから、離婚について話し合う前に家の財産チェックをしておいた方がいいです。
もし自宅などの不動産を所有しているのなら、最終的に離婚したとなるとお金の問題は、財産分与で清算、という方法をとります。
法律上、財産分与は、婚姻期間中に築いた財産を夫2分の1、妻2分の1の割合で分け合うのが原則です。
売却したらどれくらいの価格になるかを出して、資産価値からの処分を検討しておきましょう。
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