親として子供と面会する権利
「会わせたくない気持ち」と「面会交流の権利」はまったく関係なし
離婚してから、元妻が 子どもに会わせてくれない んです。
「子供が会いたくないと言っている」と元妻は理由をつけるんですが、どうも嘘っぽいんです。
よくある、母親側が本当は「自分が子供と会わせるのがいやだから」と、父親と子供を会わせないケースが多いですね。
面接交渉権ですね。
離婚後、親権者または監護者にならなかった方が、子供に面会したり一緒に時間を過ごしたりすることを面接交渉と言います。
それって親の都合というか意地ですよね。
面接交渉権は通常は認められるんですよね。
もちろんです。
面接交渉権は親の権利でもあり、子供の権利でもあるんです。
子どもと離婚後も会うことを、面接交渉権にもとづいて、子供を監護していない方の親が子供に会うことについての取り決めをします。
この面接交渉権は、法律の条文で規定された権利ではないのですが、判例や家庭裁判所でも認められているものです。
親権者は、そうでない方の親に子供を会わせないようにすることはできません。
子供に会うことまで拒否することはできないと考えられています。
権利だったら、正当な理由なく会わせないのはNGですよね。
当然です。
それに、いやだから会わせたくない!ということをしていると、後で子供にそっぽを向かれます。
それは、
どっちの親も子供にとっては親
ということです。
たとえ両親が違う場所に住むことになったとしても、子供には家族がいるということです。
離婚によって、夫婦の結婚生活は終わりますが、それは子供にとっては家族の終わりではないのです。
子供の家族は今でも子供の家族です。だれも、それを変えることはできませんからね。
実際には、子供を育てている方が、意地になって、面会交流をやらない方向に持って行くこともあります。
離婚後も子どもに会えるように、あらかじめ決めておいた方がよかった
と嘆くことがないように、離婚前に、具体的内容について取り決めておけばトラブルが避けられます
→子どもと面会する内容を決める
ここでは、離婚後の面会交流をする方法や、実際の事例をふまえて注意すべき点を案内します。
子供に会うには家庭裁判所を利用する方法もある
元妻が子どもと面会させてくれないので、子供と会うために 家庭裁判所で なにかしてもらえることもあるんですか?
子供との面接交渉について取り決めを調停・裁判で面接交渉について取り決めていた場合、裁判所は履行の勧告をしてくれます!
調停や裁判で決定したことが守られない場合、約束したとおりにするよう命令することです。
裁判所に何度も言われれば、「しょうがない」と改善する場合もありますが、うまくかない場合もあります。
他に面接交渉権を行使する方法ってあるんですか?
子どもと会うときに親権者も安心できる場所として、家庭裁判所のOBが運営している施設で面接交渉することもあります。
他にも、会わせてくれない!となると慰謝料請求もありです!
100万〜200万円くらい請求できますが、余計こじれそうですけどね。
よほどのことがない限り、そこまではいかないです。
子供との面接が制限されてしまう場合
子どもと会うことを制限されてしまうこともあるんですか?
子供と会うことで子供に悪影響があるような場合には、面接交渉権が制限されます。
面接交渉が認められる基準は、子供の利益、子供の福祉です。
離婚後に子供と会う取り決めが難しい場合で、典型的なのは、いままで子供に暴力をふるっていた場合など虐待がからむケースです。
たとえば、子供を引き取っている親が再婚して、子供とともに円満な生活ができていることってありますよね。
離婚後に親子ともども円満な生活をしているのに、昔のイヤな思い出のある元親と会ってしまったら…
離れて暮らす親と会うことが、むしろ逆に子供に動揺を与えてマイナスであると評価された場合にも認められない可能性があります。
DVされたときのことがフラッシュバックするのが典型例です。
面接交渉が認められない場合の具体的な例
- 支払い能力があるのに養育費を払わない
お金がないわけでもないのに、支払い能力があるにもかかわらず、養育費を負担しない親には、子供に対する愛情に疑問があるということです
- 子供が面会を望まない。子供と勝手に会う。
子供が面会を望んでいるかどうか、その意思を慎重に調査して判断されます。
思春期の子供など年齢的に非常に難しく、離れて暮らす親と会うことによって、その精神状態の動揺が考えられるような場合も認められない可能性があります。
- 子供・監護者に暴力をふるう。
アルコール依存である・親権喪失事由がある場合など親権者として失格と見なされる場合です。
離婚理由がDVなのは典型的ですね。
- 面会などによって子供に悪影響を与える
両親の婚姻時から、片方の親が子供に暴力をふるうなどで、もう一方の親が子供を救うために離婚したような場合には面接は認められません。
- 相手方に金銭の要求をする。刑罰を受けるような犯罪を起こす
子供と会うときにやってはいけないこと
- 親権のない離婚した夫が子供につきまとう
- 親権や監護権がない親が、勝手に子供と会ったり、子供を連れ去ろうとしたりする
- 子供の登下校を待ち伏せる
こういったときは、子供との安定した生活が乱されるようでは、子供と会うことを制限させられてもやむを得ません。
元夫婦でルールが決まらないようなら面接交渉権の制限を家庭裁判所に申し立てることができます。
面会の方法によっては子供に動揺を与え、精神的不安を招くこともあり得ます。
具体的な悪影響が出るような場合には、子供がある年齢に達するまで面接を禁止する、親権者または監護者同伴の場でのみ面接させるなどの方法もあります。
子供との面接の際に相手方に復縁を迫ったり、金銭を要求したりするような場合にも、面接交渉権の乱用として、面接交渉の停止を家庭裁判所に申し立てることができます。
離婚調停で子供を預けたのに約束を守らなかったら
最高裁まで争われた判例があります。
6歳と4歳の子供を連れて別居中の妻が、離婚調停を申し立て、
夫が冬休みの間だけ2児を預かりたい、というので、調停の円満な進行に配慮した調停委員のすすめもあって子供を夫に預けました。
ところが、約束に反して、夫は子供を返しません。調停委員の説得にも応じず、2児の住民票まで勝手に夫の方に移しました。
妻はやむなく人身保護法による子の引き渡しの請求をし、最高裁まで争いとなりました。
最高裁では、平成6年7月8日の判決で夫の拘束に顕著な違法性があると判断して妻の請求を認めました。
別居中でも面接交渉権はありますが、権利を乱用すると子供にとっても親にとっても酷な結果になってしまいます。
子供との面会について協議の話し合いができない場合やこじれているならば、調停をすることになります。
離婚のことで悩んでいたり知りたいことがあれば、まずは家庭裁判所に行くといいです。
もちろん、「離婚できるか、できないか」の判断はしてくれませんが、主に手続き的なことであれば、わかりやすく教えてもらえます。